ニホンナシの花芽着生率を向上させる植物生長調節物質の散布時期

タイトル ニホンナシの花芽着生率を向上させる植物生長調節物質の散布時期
担当機関 果樹試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 伊東明子
羽山裕子
吉岡博人
発行年度 1998
要約 ニホンナシ「幸水」の長果枝側芽の花芽着生率は植物生長調節剤の散布によって向上する。その有効な散布時期は、オーキシン移行阻害剤が7月中、ジベレリン生合成阻害剤が7月上旬及びそれ以前、サイトカイニンが6月上旬から7月下旬、アブシジン酸が6月上旬から7月中旬、ジベレリンが8月上旬である。
背景・ねらい
ニホンナシは花芽着生率に品種間差がある。わが国で第1の生産高の「幸水」は、長果枝に着生する側花芽を利用する栽培方法が一般的であるが、側芽の花芽着生率が低く、大きな問題となっている。そこで、長果枝に着生する花芽数向上効果のある植物生長調節物質を選抜し、それぞれの剤の効果的な散布時期を明らかにすることによって、植物生長調節物質散布による省力的な花芽着生制御技術開発に資することを目的とした。
成果の内容・特徴
  1.  試験に使用した植物生長調節物質及び散布濃度は表1のとおりである。
  2.  オーキシン移行阻害物質(C-MH)は7月中の処理、ジベレリン生合成阻害物質ウニコナゾールP(unz)は7月上旬及びそれ以前の処理、サイトカイニン活性物質ベンジルアミノプリン(BA)は6月上旬から7月下旬の処理、アブシジン酸(ABA)は6月上旬から7月中旬の処理は花芽着生数を向上させるが、それ以外の時期では効果がない(図1)。一方、ジベレリン(GA)は、6月中の処理では花芽着生数を有意に減少させるが、7月の上・中旬の処理では効果がなく、8月の処理で花芽着生数が増加する。
  3.  unz 及び GA結果から、ジベレリンは新梢伸長停止期前は花芽着生数に対し抑制的、後では促進的に働くと考えられた。一方、 C-MH 及び BA は新梢伸長停止後の散布も有効であることより、花芽着生増加には頂芽優勢の打破が関与している可能性が考えられた。
成果の活用面・留意点
  1.  本知見は、ニホンナシの花芽着生制御技術の開発に大きく役立つと期待される。ただし、実際の技術として利用するためには、当該植物生長調節物質を全面散布したときの効果の安定性や薬害の有無について検討する必要がある。
  2.  当試験の結果は果樹試験場(茨城県つくば市)で得られたものであり、地域によっては当該物質の効果に多少の変動がある可能性がある。
図表1 212958-1.gif
図表2 212958-2.gif
カテゴリ 品種

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