日本産カンキツトリステザウイルス分離株の遺伝子解析

タイトル 日本産カンキツトリステザウイルス分離株の遺伝子解析
担当機関 果樹試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 奥田誠一*
加納 健
夏秋知英*
家城洋之(*宇都宮大学農学部)
今西典子*
日山東子*
発行年度 1998
要約 病原性や血清学的性質の異なる日本産カンキツトリステザウイルス(CRV)分離株の塩基配列を比較し、それらを3群に大別した。I群には強毒株、II 群には弱毒株、III 群には強毒株と弱毒株が含まれた。強毒株ではGAP 領域に1ないし2塩基の欠失が見られた。なお、日本産CTV外被タンパク質遺伝子にコードされたアミノ酸の保存性は、外国産CTV と異なり変異に富んでいた。
背景・ねらい
カンキツトリステザウイルス(citrus tristeza
virus:CTV)はネーブルオレンジ、ブンタン類等の中晩柑類の生産を著しく阻害するウイルスである。アブラムシ伝染する本ウイルスの唯一の防除法は弱毒株の強毒株に対する干渉効果を利用することであるが、そのためには両系統の簡便な識別法の開発が必要である。そこで日本産
CTV 分離株の遺伝子解析を行った。
成果の内容・特徴
  1.  CTV13 分離株の PCR 産物(27K タンパク質遺伝子の3´末端領域から外被タンパク質遺伝子の大部分の領域を含む約 640 塩基で両遺伝子間にあるタンパク質をコードしない部分(GAP領域)も含む)から得た塩基配列を比較し、それらを3群に大別した。 I群には強毒株5株、II群には弱毒株4株、III群には強毒株2株と弱毒株2株が含まれた(図1)。
  2.  強毒株の GAP 領域には、特異的に1ないし2塩基の欠失が認められた。
  3.  外国産 CTV外被タンパク質では、124 番目のアミノ酸残基が系統特異的であると報告されているが、日本産弱毒株のうち M15A と M23A は強毒株と同じアミノ酸残基を有していた。これは、日本産 CTV が外国産 CTV に比べ、遺伝子レベルの変異に富むことを示唆している。
成果の活用面・留意点 [成果の利用・留意点]
遺伝子診断法が確立されると、弱毒ウイルス保毒苗木の確認が可能になり苗木の普及に貢献できる。また、干渉効果の機構解明及び早期判定法の開発ができる。
図表1 212971-1.gif
カテゴリ 病害虫 ネーブル ぶんたん 防除 その他のかんきつ

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