タイトル | 効率的なイチジクの不定芽誘導条件 |
---|---|
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2002~2005 |
研究担当者 |
薬師寺 博 間瀬誠子 佐藤義彦 |
発行年度 | 2003 |
要約 | ショ糖濃度6%のMS培地にイチジク「桝井ドーフィン」の葉片を明条件下で葉片の上辺部位を表に置床して培養すると、短期間で高頻度に不定芽を誘導することができる。 |
キーワード | イチジク、不定芽、糖濃度、光、葉片部位、葉表裏 |
背景・ねらい | イチジクは近年栽培が著しく増加している樹種の一つであるが、耐病虫性や耐寒性などの克服や生理機能の解明のためには、遺伝子組換え体作出技術の確立が不可欠である。アグロバクテリウム法を用いて遺伝子組換え体を効率よく獲得する場合、短期間で高頻度に不定芽を誘導できる培養法が必要となる。 そこで、イチジク葉片から不定芽を短期間で効率よく誘導するために、培養条件である葉の移植部位、ショ糖濃度、光の有無及び葉の表裏について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 不定芽誘導用の基本培地として、2,4-D 1.0 mg / L、チジアズロン(TDZ)1.0 mg / L、フロログルシノール(PG)0.5 mMを添加したMS培地(寒天0.8%、pH 5.8)を使用する。 2. 茎頂培養由来で継代培養中の「桝井ドーフィン」の葉を用いる。展葉中の葉身を上辺部と下辺部(葉柄側)に分けて培養したとき、ショ糖濃度3~6%培地において不定芽は主に上辺部で発生する(表1)。 3. 不定芽は葉の表面に発生する。葉の裏面を上にして培地に置床(葉裏区)する場合でも、反り返った葉の表面に不定芽を形成するが、表面を上に置床(葉表区)する方が、さらに高頻度に多数の不定芽を誘導する(図1、表2)。 4. 葉の表裏に関わらず照明のある条件(明区)で培養する方が、暗黒区に比べて短期間で高頻度に不定芽を誘導する(図1、表2)。 5. 明条件下ではショ糖濃度3%でも比較的高頻度に不定芽は誘導されるが、ショ糖濃度を6%にするとさらに高頻度に不定芽を誘導できる(表2、表3)。加えて、ショ糖濃度6%の培地では、不定芽数も増加する(表3)。 6. 誘導される不定芽は葉片から切除した後、増殖培地(BAP 0.5 mg / LとNAA 0.1mg /Lを添加したMS培地)と発根培地(植物ホルモンフリーのMS培地)に移植することで、植物体に再生できる(データ略)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 培養葉片を用いることによって周年で不定芽を効率よく獲得できるので、大量増殖に利用可能である。 2. 培養後1ヶ月程度で不定芽を高頻度に誘導できることから、今後イチジクの遺伝子組換え体作出用の選択培地に利用できる。 3. 遺伝子組換え体の作出に用いるには、選抜マーカーであるカナマイシンやアグロバクテリウム除菌剤などに対する感受性を検討する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | いちじく 耐寒性 |