タイトル |
早生で食味良好な完全甘ガキの新品種「早秋」 |
担当機関 |
果樹試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
岩波 宏
吉永勝一
佐藤明彦
山根弘康
山田昌彦
小澤俊治
中島育子
平川信之
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発行年度 |
1999 |
要約 |
カキ新品種「早秋」は「伊豆」に「109-27」(「興津2号」×「興津 17 号」)を交雑して育成した早生の完全甘ガキである。果実成熟期は「西村早生」とほぼ同時期で、食味良好である。
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背景・ねらい |
甘ガキには完全甘ガキと不完全甘ガキがあるが、最も望ましいのは安定して甘ガキを生産できる完全甘ガキ品種である。経済栽培されている甘ガキ品種は、中~晩生である「富有」、「次郎」及びその枝変わり品種が主体である。早生の完全甘ガキとしては、「伊豆」が栽培されているが、「伊豆」は収量性と果実の日持ち性が劣り、汚損果やへたすき果の発生が多いなど欠点が多いため、早生の優れた甘ガキ品種開発の要望が強い。そこで、食味と日持ち性が優れ、へたすき性がない完全甘ガキの早生品種を育成しようとした。
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成果の内容・特徴 |
- 1988 年(昭和 63 年)に果樹試験場安芸津支場(現カキ・ブドウ支場)において「伊豆」に「109-27」{「興津2号(富有×晩御所)」×「興津 17 号(晩御所×袋御所)」}を交雑して育成した品種である。
- 1996 年(平成8年)から 1999 年(平成 11 年)まで系統番号「カキ安芸津 13 号」としてカキ第5回系統適応性検定試験(系適)において検討を続けた結果、2000 年(平成 12 年)1月の同試験成績検討会において新品種候補として適当であるとの結論を得、2000年(平成 12 年)10 月 25 日付けで「早秋」と命名され、「かき農林9号」として登録・公表された。
- 果実の甘渋性は完全甘ガキである。果実成熟期は早生で、「西村早生」とほぼ同時期である(表1)。果形は扁平で、やや果形が乱れやすい(図1)。果実重は250g程度である。肉質はやや軟らかく緻密であり、果汁が多く食味は良好である。糖度は 14~15% である。早生品種としては日持ち性が良く、育成地では 12 日程度日持ちする。へたすき果の発生はほとんどない。汚損果はやや発生するが、育成地ではほとんど条紋によるものである。
- 樹勢は中程度で、樹姿は開張である。雄花は着生しない。雌花の開花期は「伊豆」とほぼ同時期で「富有」より早い。雌花の着生は多い。単為結果力、種子形成力がともに高くなく、早期落果がやや多い傾向がある。新梢が6月に二次伸長しやすい。炭そ病にやや弱い。
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成果の活用面・留意点 |
- 完全甘ガキであり、夏秋期の気温の高い地域に適応し、一般に「松本早生富有」、「富有」、「次郎」、「前川次郎」の栽培地域で栽培できる。東北地方南部、北陸地方、高冷地などでは、渋残りが生じることがある。
- 早期落果がやや多い傾向があるので、受粉樹の混植や人工受粉など種子形成を促す管理をするとともに、二次伸長しかけた芽をかき、果実と新梢との養分競合を防ぐと良い。また、炭そ病にやや弱く、特に二次伸長した新梢は炭そ病に罹病しやすいため、適正な防除を行うことが必要である。
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カテゴリ |
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