果肉色が優れ甘味の多いやや晩生のクリ新品種候補「クリ筑波 35 号」

タイトル 果肉色が優れ甘味の多いやや晩生のクリ新品種候補「クリ筑波 35 号」
担当機関 果樹試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 阿部和幸
樫村芳記
梶浦一郎緒方達志
栗原昭夫
佐藤義彦
寺井理治
小園照雄
正田守幸
西端豊英
増田亮一
町田 裕
福田博之
木原武士
鈴木勝征
壽 和夫
澤村 豊
齋藤寿広
発行年度 2000
要約 クリ新品種候補「クリ筑波 35 号」は、「筑波」に「524-1」を交雑して育成したやや晩生系統である。果実の比重が大きく、果肉は黄色味が強く、甘味が多くて食味良好である。
背景・ねらい 昭和 20 年代に急速に蔓延したクリタマバチ対策として抵抗性品種の育成が行われてきたが、中国からの導入天敵が定着する様相を示していることにより、クリ育種は従来以上に品質の改良に重点がおかれるようになった。本品種は果実品質が優れる中晩生品種を育成しようとして選抜したものである。
成果の内容・特徴
  1. 1983 年(昭和 58 年)に肉質優良な中生品種の「筑波」にやや晩生で大果の育成系統である「524-1」(利平ぐり×クリ平塚 24 号(片山×赤中))を交雑して育成した。
  2. 1986 年(昭和 61 年)に定植し、1991 年(平成3年)に一次選抜した。1992 年(平成4年)から「クリ筑波 35 号」としてクリ第5回系統適応性検定試験に供試した。その結果、平成 12 年度同試験成績検討会議において新品種候補にふさわしいとの結論が得られた。
  3. 樹姿は「石鎚」に似てやや開張性で樹勢は中である。枝梢は褐色で皮目はやや扁円形を呈する。成葉は長楕円状披針形で中程度の大きさである。葉柄は中程度の太さでやや長い。雄花穂は中程度の長さで姿勢は開張と直立の中間である。クリタマバチ抵抗性は未検定である。
    きゅう果は扁球形できゅう梗は中位の太さであるが短く、とげはやや長い。側果の則面の形は帯円三角形、横面は尖円形である。果実は「筑波」よりは小さいが「石鎚」とほぼ同じ大きさであり、果皮は暗褐色を呈する。座がやや大きく、果皮の毛じは多い。果肉は「筑波」よりも黄色味が強くて粉質であり、甘味、香気ともに多く、食味は良好である。また、貯蔵中の果肉色の変化が比較的少ない。開花期は「筑波」、「石鎚」と同時期で遅く、成熟期はやや遅く、概ね「筑波」と「石鎚」の中間である。収量は「筑波」より劣るが「石鎚」と同程度である(表1、表2、図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 全国のクリ栽培地帯で栽培可能であり、「筑波」と「石鎚」の間を補完する品種として利用できる。
  2. 樹勢が低下しやすいので集約的管理により樹勢の強化を図る必要がある。台木との組合せによっては接ぎ木不親和症状を呈することがある。
図表1 212993-1.jpg
図表2 212993-2.jpg
図表3 212993-3.jpg
カテゴリ 育種 くり 栽培技術 新品種 台木 接ぎ木 抵抗性 抵抗性品種 品種 良食味

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