タイトル |
重回帰式による早生温州の果汁品質の予測 |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
草塲新之助
瀧下文孝
内田誠
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発行年度 |
2000 |
要約 |
早生温州の 11 月における果汁の糖度は9月1日の果径、9、10 月の合計降水量及び8月の気温を用いた重回帰式、また、クエン酸含量は満開日、9月1日の果径、9、10月の合計降水量及び 10 月気温を用いた重回帰式を適用し、それぞれの定数項を各地域毎に補正することでかなりの精度で予測できる。
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背景・ねらい |
カンキツの果実品質をできるだけ早い時期から予測することは販売戦略や栽培上の工夫改善を行う上で極めて重要である。これまでにも気象要因を用いた重回帰式の作成例はあったが、十分な精度が得られず、最近は収穫前の果汁分析をもとに収穫時期を判断している例が多くみられる。そこで、気象要因だけでなく、生態調査項目(満開日、果径)、収穫前の果汁分析値を取り入れた重回帰式の作成を試みる。
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成果の内容・特徴 |
- 11 月1日の早生温州の糖度(Brix)は、9月1日の果径、9、10 月合計降水量及び8月の気温を説明変数とする予測式で予測できる。さらに、9月1日の糖度の値を変数に加えると、最も精度が高くなる(表1)。
- 11 月1日のクエン酸含量は、満開日(5月1日を1とし、2日、3日をそれぞれ2、3と表す)、9月1日の果径、9、10 月合計降水量及び 10 月気温を説明変数とする予測式で予測できる。9月1日のクエン酸含量の値を変数に加えると精度が上がる(表1)。
- これらの予測式を使って、過去の分析データとの差(残差)をみると、各地域により特徴ある傾向がみられ、残差をもとに定数項を補正することで地域毎に精度の高い(糖度で ±0.5、クエン酸含量で ±0.1 程度)予測式を作ることができる(表2、3、4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 過去数年にわたる早生温州のデータを保有している地域で使える。なお、気象データはできるだけ予測対象の樹から近い所の値を用いる。
- 気象データが平年値と大きく異なる様な異常年においては、この重回帰式では予測値と実測値との差が大きく出ることがある。
- 定数項の補正には過去の全てのデータの平均残差を用いるよりも、最近5年間程度のなかで、異常値を除いた値の平均を用いる方が良い結果が得られる。
- これらの予測式を使って9月1日からの予測が可能であり(気象データは平年値及び予測時点までの観測値を用いる)、これを基に9月以降の栽培管理に活かすことができる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
栽培技術
その他のかんきつ
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