タイトル | 携帯型の非破壊品質評価装置を用いたリンゴ樹上未熟果の糖度測定 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2000~2004 |
研究担当者 |
別所英男 増田哲男(東北農研) 鈴木良治(クボタ) 工藤和典 石川勝規(岩手農研) 小野剛史(長野果試) 野呂昭司(青森りんご試) 白川真美子(青森りんご試) 工藤信(山形園試) 大森潤一郎 中元陽一(東北農研) 藤澤弘幸(東北農研) 猪俣雄司 和田雅人 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 近赤外光による携帯型非破壊品質評価装置をリンゴ未熟果に適用するための温度補償型検量式を開発した。本装置により、収穫約 50日 前からの樹上果の糖度を測定できる。また、樹間、樹冠内の糖度が低い部分や受光態勢の悪化を簡便に知ることができる。 |
キーワード | リンゴ、糖度、近赤外光、非破壊、携帯型装置、樹上未熟果 |
背景・ねらい | リンゴ栽培において樹間及び樹冠内の果実品質のばらつきが問題となっている。非破壊センシングによる樹上果の品質評価や高品質生産のための樹相診断技術を開発するため、近赤外光による携帯型の非破壊品質評価装置を用いて、樹上における未熟果の簡易な品質評価技術を開発し、品質予測や樹相診断に役立てる。 |
成果の内容・特徴 | 1. K社製携帯型装置(図1)による糖度測定は樹上果の赤道部の陽向面と陽背面の中間部分を2ケ所測定し、平均値を求める。樹冠内の糖度分布を推定するために樹の南北方向(樹列)と東西方向(通路)の 50cm×50cm×50cm立方体の中に入る果実の糖度測定を行い、それぞれ幹から ±50cm 奥行1m枠に入る果実の平均値を使用する。 2. 平成 11 年産の「ふじ」、「ジョナゴールド」、「つがる」等7品種、5場所(果樹研リンゴ研究部、岩手農研、長野果試、青森りんご試、山形園試)の果実データに基づき非破壊測定による未熟果用の糖度検量式を作成した。 3. 果実の近赤外スペクトルは温度の影響を受け、測定時の温度によってバイアス(誤差)を生じる。品温を変えた果実サンプルをもとに温度補償型検量式を作成し、再計算することにより誤差を小さくすることができる(図2)。 4. リンゴの主要品種における果実糖度の予測精度は未熟な段階からほぼ全期間を通じて高く、収穫 50 日前からの樹上果の糖度の測定が可能である(表1)。 5. 収穫約 20 日前の推定糖度と収穫時の実測糖度との相関は高く(r=0.833)、樹上未熟果の推定糖度から収穫時の糖度予測が可能である(データ省略)。 6. 本方法を用いて樹高 2m 以下における樹冠内の糖度分布を調べることにより、収穫前に品質不良樹や樹冠内の糖度が低い部分を明らかにすることができる(図3)。 7. 樹冠内糖度と相対日射量は関係が深く、相対日射量が 30% 以下の部分では糖度が低下しやすい。(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 収穫 50 日前の果実が未熟な時期における収穫適期や果実糖度の予測に利用できる。 2. これらの品質情報と従来の樹相診断を組み合わせることにより整枝・剪定、施肥等の生産指導に役立てることができる。 3. 携帯型非破壊品質評価装置は1台 200万円 ほどの高価な機械であり、当面は農業改良普及センターや農協における生産指導に活用する。 4. 果肉温度が5℃以下の条件では測定値に誤差を生じる可能性がある。 5. 品種や年次によって測定値にふれを生じることがあるので、測定前に5果程度の果実サンプルを用いて推定値と実測値を測定し、バイアス調整を行う必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | 診断技術 施肥 センシング 評価法 品種 りんご |