タイトル | ニホングリの SSR マーカーの開発と品種識別 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
今井剛 山本俊哉 松田長生 正田守幸 田中孝尚(東北大) 林建樹 鈴木三男(東北大) 壽和夫 |
発行年度 | 2002 |
要約 | クリ属では初めて、ニホングリで信頼度や多型性が高い SSR マーカーを 15 種類開発した。ニホングリ 30 品種をすべて識別することができる。本 SSR マーカーは、品種識別、親子の鑑定、選抜マーカーとして有用である。 |
キーワード | ニホングリ、品種識別、SSR |
背景・ねらい | クリはブナ科に属する果樹で、その果実や木材の利用を目的に、日本のみならずアジア、ヨーロッパ等世界の温帯地域で広く栽培されている。しかし、分子マーカーによる解析例は少なく、栽培ニホングリの遺伝的多様性について、十分に解明されていない。 本課題では、ヒトの親子鑑定に広く利用されている信頼性や多型性の高い SSR マーカー(Simple Sequence Repeat、別名マイクロサテライト)を開発し、それを用いてクリ栽培品種の解析を行った。 |
成果の内容・特徴 | 1. ニホングリ品種「筑波」のゲノム DNA をもとに、(AG)/(TC)反復配列を含む 15 種類の SSR マーカーを開発した(図1、表1)。 2. SSR マーカーを用いて、クリ品種「筑波」(F1)とその両親である「岸根」(♀)と「芳養玉」(♂)、及び「丹沢」(F1)とその両親である「乙宗」(♀)と「大正早生」(♂)でバンドの遺伝を調べたところ、両親のバンドが矛盾なく子供に遺伝する。このことから、親子鑑定に利用可能であることが示唆される。 3. 15 種類の SSR マーカーを用いて、ニホングリ 30 品種・系統のすべてが識別できる。対立遺伝子数、ヘテロ接合度とも高く、ニホングリではヘテロ性が高く、遺伝的多様性に富んでいる(表1)。 4. ニホングリとチュウゴクグリ間では明確な差が見られたが、日本由来の栽培品種、日本の自生グリ、韓国由来の栽培品種、韓国の自生グリ間で、明確な差は見られなかった。 5. SSR マーカーのほとんどが、チュウゴクグリ、ヨーロッパグリ、アメリカグリ等の他種のクリに適用可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 信頼度の高いクリの品種識別が可能である。 2. クリの親子鑑定に利用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | くり 品種 |