リンゴペクチンの機能性の解明

タイトル リンゴペクチンの機能性の解明
担当機関 (独)農業技術研究機構 果樹研究所
研究期間 2000~2001
研究担当者 伊藤巌
佐藤宏一(さとうクリニック)
石川悦夫(江東微生物研究所)
村松昇
朝倉利員
天野貴之
田中敬一
立木美保
鈴木康生
発行年度 2002
要約 リンゴペクチン摂取によるヒト介入研究を行った結果、摂取開始前と比較して、摂取後の血液中のヒスタミン濃度が 24% 低下する。また、血液中の総コレステロール及び LDL-コレステロールの低下も認められる。さらに、リンゴペクチンの側鎖を構成するアラビノオリゴ糖は、極めて高いビフィズス菌選択性増殖活性を示す。
キーワード ヒト介入研究、ヒスタミン、リンゴペクチン、アラビノオリゴ糖
背景・ねらい 現在では、日本人の約3割の人が何らかのアレルギーに関係があると言われている。その原因には、栄養バランスの偏りが大きく関与していると考えられている。ヒスタミンは、気管支ぜん息などの疾患を引き起こすことが知られていることから、ヒスタミンに着目し、リンゴペクチンとの関係を追求する。あわせて、リンゴペクチン摂取とコレステロールとの関係についてヒト介入研究を行う。
また、食を通じて生活習慣病等疾病を予防するためには腸内細菌叢を健全に保つ必要がある。果樹研究所で行われたヒト介入研究において、リンゴ摂取によりビフィズス菌が 15% 増加することが明らかになっている。その理由を解明するため、リンゴペクチンに着目し、ビフィズス菌選択増殖因子を探索する。
成果の内容・特徴 1.
健康な被験者 14 名(平均 47 才、25~68 才、男性 11 名、女性3名)に、リンゴ高メトキシルペクチン(平均 8.4g/日)を摂取してもらい、クロスオーバー試験を行う。本試験方法はヒトでの摂取効果判定に高い信頼性がある。
2.
リンゴペクチンを摂取すると血液中ヒスタミン濃度は、リンゴペクチン摂取前と比較し平均値で 0.70ng/ml から 0.53ng/ml へと有意に 24% 減少し(P<0.01)、摂取を止めると0.67ng/mlへと有意に増加する(P<0.05)(図1)。また、総コレステロール、LDL-コレステロールは、リンゴペクチン摂取前と比較し10%減少する(表1)。以上の結果より、リンゴペクチン摂取で、血液中のアレルギーに関与するヒスタミン及びコレステロールが減少する。
3.
リンゴペクチン側鎖を構成するアラビノオリゴ糖は、ビフィズス菌のうち特に成人の健康維持に重要と考えられているB. adolescentis、B. longum と腸内最優勢菌であるバクテロイデス属の Bacteroides vulgatus にのみ資化(菌が対象成分を栄養源として生命活動に必要なエネルギーを獲得し増殖できること)される(表2)。一方、有害菌であるウェルシュ菌などでは資化されず、極めて高いビフィズス菌選択性を示している。
4.
アラビノオリゴ糖は、今まで知られているフラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖などとはカテゴリーの異なる新しいタイプの有用菌増殖因子である。
成果の活用面・留意点 1.
既にアレルギーに罹患した患者に対するアレルギー症状改善効果については今後明らかにする必要がある。
2.
ヒト介入研究で摂取したペクチン含量はリンゴに換算すると6~8個分に相当する。
図表1 213068-1.jpg
図表2 213068-2.jpg
図表3 213068-3.jpg
カテゴリ 機能性 りんご

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