実ウメ品種の果実における果頂部樹脂症の発生要因

タイトル 実ウメ品種の果実における果頂部樹脂症の発生要因
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所
研究期間 1987~2003
研究担当者 山口正己
八重垣英明
土師  岳
発行年度 2003
要約 ウメの果実の果頂部付近の樹脂症の発生には,果頂部における中果皮細胞の肥大程度が関係しており,細胞肥大の著しい品種ほど発生率が高くなる。
キーワード ウメ、樹脂症果、中果皮細胞径、育種
背景・ねらい
ウメには、ヤニ果あるいは樹脂症果と呼ばれる果実障害が発生する品種がみられる。この障害は梅干しの品質を悪くすることから、加工上大きな問題となっている。発生には品種による差異があり、発生の多い品種は梅干し加工に適さないと評価されている。発生原因として微量要素欠乏などが疑われたが、確定しておらず、発生原因の解明が待たれている。
成果の内容・特徴
1.
樹脂症果の発生の少ない「甲州最小」、「南高」、「豊後」及び「加賀地蔵」,中程度の発生のみられる「白加賀」、発生の極めて多い「月世界」を用い、幼果から完熟に至るまで、赤道部及び果頂部の中果皮細胞径を測定するとともに、成熟期に達した果実の樹脂症果の発生率を品種毎に調査する。
2.
樹脂症果発生率には品種による差が認められる(表1)。果頂部の中果皮細胞径は、「月世界」で最も肥大が早く、その数値も大きい(図1)。赤道部中果皮細胞径と果頂部中果皮細胞径の間には、品種毎に極めて高い正の相関が認められ、その回帰直線の傾きは果頂部中果皮細胞径の大きい品種ほど大きい(表2)。
3.
回帰直線の傾きと果頂部樹脂症発生率との間には、r =0.966の極めて高い相関が認められる。このことから、果頂部に発生するウメ果実樹脂症は果実肥大による果頂部のストレスが果肉の裂開を引き起こすことにより発生すると推定される。
成果の活用面・留意点 1.
ウメ品種の樹脂症果発生の難易の推定が可能となる。
2.
果頂部以外の部位の樹脂症については、この結果は適用できない。
図表1 213102-1.jpg
図表2 213102-2.jpg
図表3 213102-3.jpg
カテゴリ 育種 うめ 加工 果実障害 品種

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