タイトル | ニホンナシ「豊水」の親品種の同定 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2000~2004 |
研究担当者 |
高田教臣 山本俊哉 木村鉄也(種苗管理セ) 林 建樹 壽 和夫 澤村 豊 齋藤寿広 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 交配親が不明であるニホンナシ主要品種「豊水」の交配年前後の交配組合せに関する果皮色、自家不和合性遺伝子、61種のSSRマーカー及び葉緑体DNAの分析から、「豊水」の種子親は「幸水」、花粉親は「平塚1号」であると判断される。 |
キーワード | SSRマーカー、自家不和合性遺伝子、ニホンナシ、DNA鑑定 |
背景・ねらい | 育成されて約半世紀が経過する「豊水」は、今では、ニホンナシ生産量の約1/4を占める主要品種となっている。また、「豊水」は品質、栽培性ともに優れるために育種母本として頻繁に用いられている。しかし、当初発表された「豊水」の交配組合せ(「平塚7号(リ-14)」×「八雲」)には疑問が持たれており、果皮色、自家不和合性の調査結果や最近のDNA解析からも、現在では「豊水」の親品種は不明とされている。そこで「豊水」の親品種の同定を試みた。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「豊水」が交配された1954年前後(1953年から1955年)に、ニホンナシの品種育成のために行われた交配組合せは84である。 2. 「豊水」の親品種として可能性がある84交配組合せについて、果皮色の調査、自家不和合性遺伝子及び61種類のSSRマーカーによるDNA鑑定の結果、「幸水」と「平塚1号(イ-33)」の組み合わせのみがこれらの調査において矛盾が無い。 3. 種子親からのみ遺伝する葉緑体のDNA trnL-F 領域を調査したところ、「豊水」の葉緑体のDNA は「幸水」と一致する(図1)。 4. これらの調査を総合した結果、「豊水」の交配組合せは種子親「幸水」、花粉親「平塚1号」(写真1)である可能性が高い(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. SSRマーカーによる品種判別は、ニホンナシの親品種の正確な同定に有効である。 2. 「豊水」も「幸水」と同じく「二十世紀」の後代であることが明らかとなり、「豊水」を親とする品種育成にはこの点を考慮する。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 育種 品種 |