タイトル | ジベレリン処理によるブドウ肉質の変化 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
岩波 宏 佐藤明彦 三谷宣仁 山田昌彦 |
発行年度 | 2004 |
要約 | ブドウにおけるジベレリン処理は、無核化・大粒化だけでなく、肉質に変化をもたらす。ジベレリン処理による果肉の変化は品種・系統によって異なるが、果肉硬度が高くなる品種・系統が多い。 |
キーワード | ブドウ、ジベレリン、肉質、果肉硬度、貫入試験 |
背景・ねらい | ブドウにおける花・果房へのジベレリン溶液浸漬処理は、無核化、大粒化をはかるために我が国の主要品種の栽培において一般に広く行われている。ジベレリン処理の効果は、無核化、大粒化だけでなく果粒の肉質に変化をもたらすことが知られている。しかし、ジベレリン処理果実の肉質は器械的に評価されたことがなく、その効果について科学的に明らかになっていなかった。 一般的にブドウでは、かみ切れやすく硬い肉質の評価が高い。これまでの研究により、果肉に円筒形プランジャーを突き刺す試験(貫入試験)において、かみ切れやすさを最初の破断までの変形量(以下、「変形量」)によって、硬さを「最大破断力」によって評価できることを明らかにした。 そこで、ブドウ14品種・系統のジベレリン処理果実(満開日と満開10~16日後に25ppmの花・果房浸漬処理)と無処理果実の肉質を、貫入試験により定量的に明らかにした。 |
成果の内容・特徴 | 1. 果肉のかみ切れやすさを表す「変形量」のジベレリン処理による変化は小さく、その効果は品種・系統によって異なる。「サニールージュ」、「ハニービーナス」などは変形量が小さくなる(かみ切れやすくなる)方向へ変化するが、「安芸津22号」は反対の方向へ変化する(表1) 2. 果肉の硬さを表す「最大破断力」は、ジベレリン処理によって全体的に高くなる(硬くなる)が、その程度は品種・系統によって異なり、「安芸津22号」など処理により最大破断力が低くなる系統もある(表1)。 3. ジベレリン処理果実と無処理果実の間には糖度や酸含量の差がないことから、最大破断力(硬さ)の上昇は、熟度の影響によるものではなく、肉質そのものが変化したために生じる(表2)。 4. ジベレリン処理による肉質の変化は、倍数性の違い、果粒重、あるいは無核化の程度とは無関係に起こる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ジベレリン処理を行うことで、無核化と肉質の改善を同時に行える可能性がある。ただし、ジベレリン処理による肉質の変化はあまり大きくないので、軟らかい肉質が硬い肉質に大幅に変化する可能性は低い。 2. ジベレリン処理による肉質の変化は品種・系統によって異なるので、品種・系統ごとに実際に処理をして効果を調べる必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 品種 ぶどう |