タイトル |
酒色濃厚でワイン品質が優れる赤ワイン用ブドウ新品種候補「ブドウ山梨38号」 |
担当機関 |
山梨県果樹試験場 |
研究期間 |
1986~2005 |
研究担当者 |
三宅正則
小澤俊治
近藤真理
宇土幸伸
齊藤典義
別所英男
平林利郎
齋藤寿広
安藤隆夫
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発行年度 |
2005 |
要約 |
「ブドウ山梨38号」は栽培が容易な「山梨27号」とワイン品質の良好な「マルベック」とを交雑して育成した赤ワイン用ブドウの新品 種候補系統である。裂果が無く栽培容易な早生系統で、糖度が高く、酸抜けが良い。ワインは色が濃く、ボディがあり、タンニンを多く含み、品質が優れる。
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キーワード |
ブドウ、新品種、赤ワイン、早生、タンニン
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背景・ねらい |
現在、わが国で栽培されている主な赤ワイン用の醸造専用品種は、「メルロ」と「カベルネ・ソーヴィニヨン」等であるが、わが国の気象 条件下では着色不良や裂果といった問題が生じることが多い。このため、栽培が容易でワイン品質が優れる品種が求められている。
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成果の内容・特徴 |
- 山梨県果樹試験場において、1986年(昭和61年)に、栽培が容易な「山梨27号」(「甲州三尺」×「メルロ」)にワイン品質が優れる「マルベック」を交雑して得られた実生から選抜した。1996年に注目個体として選抜し、2000年から「ブドウ山梨38号」としてブドウ第10回系統適応性検定試験に供試した。平成17年度落葉果樹系統適応性・特性検定試験成績検討会において、栽培性と酒質が優れることから新品種候補として選抜された。
- 赤ワイン用品種である。樹勢は中程度で、花振るいが少なく、着粒はやや密である。果房重は290g、果粒重は2.3gで裂果は認められない。育成地では、「メルロ」および「カベルネ・ソーヴィニヨン」と比較して糖度は22.4%と高く、酸度は0.55g/100mlで低い。育成地における熟期は9月上旬であり、「メルロ」より1週間、「カベルネ・ソーヴィニヨン」より1ヶ月以上早く、秋雨や台風の影響を受けにくい(表1、図1)。
- 灰色かび病、晩腐病の発生は他の欧州ブドウ品種より少ない。
- ワインは「メルロ」や「カベルネ・ソーヴィニヨン」と比較して酸が少なく、まろやかで、タンニンが多い。また、酒色が濃く、ボディもあることから品質が優れている(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 既存品種において着色不良が問題となっている九州等の温暖地域においても、十分に着色する。また、北海道等の寒冷地において、耐寒性が確認されている。
- タンニンが多く酒色も濃いことから、味や色の薄いワインへのブレンド原料としても有望である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
新品種
耐寒性
品種
ぶどう
ワイン
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