モモからの高親和性硝酸イオントランスポーター遺伝子の単離と発現解析

タイトル モモからの高親和性硝酸イオントランスポーター遺伝子の単離と発現解析
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2002~2004
研究担当者 井上博道
増田欣也
中村ゆり
梅宮善章
発行年度 2006
要約  モモには高親和性硝酸イオントランスポーター遺伝子が少なくとも2コピー存在し、根特異的に発現している。これらの遺伝子発現は硝酸イオンによって誘導され、アンモニウムイオンによって抑制される。
キーワード モモ、硝酸イオントランスポーター、硝酸イオン、根
背景・ねらい  植物は外界の硝酸イオン濃度に対応して高親和性と低親和性の2種類の硝酸イオン吸収機構を持ち、各々異なる種類の硝酸イオントランスポーター(NRT)が硝酸イオンの吸収に関与している。一般に高親和性硝酸イオン吸収機構はμMレベルの硝酸イオンの吸収に、低親和性硝酸イオン吸収機構はmMレベルの硝酸イオン吸収に関与しているとされる。果樹は硝酸イオンを主たる窒素源として生育しているが、硝酸イオン吸収に関する研究はほとんど行われておらず、NRTについては全く情報が無い。そこで、果樹の養分吸収に関わる基礎的知見を得るために、高親和性NRT遺伝子をモモから単離し、その遺伝子発現と硝酸イオン吸収との関連を解析する。
成果の内容・特徴
  1. モモには、高親和性硝酸イオントランスポーター(NRT2)として、少なくとも2つの遺伝子(PpNRT2;1およびPpNRT2;2)が存在する。
  2. 単離された2つのNRT2のアミノ酸配列は、他の植物から単離されたNRT2と極めて高い相同性がある。
  3. ノーザンブロット解析の結果、2つのNRT2遺伝子は硝酸イオンを与えた植物体の根部組織特異的に発現しており、その他の器官での発現は認められない(図1)。
  4. 2つのNRT2遺伝子は、外生的に硝酸イオンのみ(硝酸ナトリウム)を与えると発現量が増大し(図2A、B)、アンモニウムイオンのみ(硫酸アンモニウム)を与えると発現量が減少する(図2C)。硝酸イオンとアンモニウムイオン(硝酸アンモニウム)とを同時に与えても遺伝子発現量は増大する(図2D)。
  5. モモ幼苗の根における高親和性硝酸イオン吸収量は10mMの硝酸イオンを外生的に与えると増大する(図3)。この結果は、上記遺伝子発現パターンと矛盾しないことから、単離されたNRT2遺伝子はモモの高親和性硝酸イオン吸収に関わっているものと推定される。
  6. 硝酸イオンとアンモニウムイオン(硝酸アンモニウム)を同時に与えた場合は、高親和性硝酸イオン吸収量は直ちに低下するのに対し、NRT2遺伝子は一時的に発現量が上昇する。アンモニウムイオン存在下での硝酸イオン吸収については、さらに解析が必要である。
成果の活用面・留意点
  1. NRT2遺伝子の発現解析及び硝酸イオン吸収量の測定には、発芽後8週目のモモ台木筑波4号実生を用いた。
図表1 213189-1.jpg
図表2 213189-2.jpg
図表3 213189-3.gif
カテゴリ 台木 もも

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