「ピノ・ノワール」から「ピノ・ブラン」への変異はVvmybA1欠失が原因である

タイトル 「ピノ・ノワール」から「ピノ・ブラン」への変異はVvmybA1欠失が原因である
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2004~2006
研究担当者 後藤(山本)奈美(酒総研)
三谷宣仁
小林省藏
鄭硯秦(酒総研)
東 暁史
末田 有(丹波ワイン)
薬師寺博
発行年度 2006
要約  黒色系ブドウ品種「ピノ・ノワール」から黄緑色系ブドウ品種「ピノ・ブラン」への果皮色変異は、アントシアニン合成を制御する転写因子遺伝子VvmybA1を含むゲノム領域の欠失が原因である。
キーワード ブドウ、果皮色変異、アントシアニン、転写因子、SSR、Myb遺伝子
背景・ねらい  ブドウの黄緑色品種「ピノ・ブラン」は、黒色品種「ピノ・ノワール」の果皮色変異体(枝変わり)と考えられているが、果皮色が黒色から黄緑色に変異した原因は不明である。ブドウのアントシアニン合成では、Myb様転写因子遺伝子VvmybA1がその合成を誘導する機能をもつことがわかっている。そこで、「ピノ・ブラン」における果皮色変異の原因がVvmybA1に起因するのか明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 8種類のSSRマーカーを用いた解析において、SSRプロファイルが両品種で完全に一致することから、「ピノ・ブラン」は「ピノ・ノワール」の枝変わりである(データ略)。
  2. VvmybA1を含むDNA領域をサザン分析すると、「ピノ・ノワール」に存在するDNA断片が「ピノ・ブラン」のバンド中に検出されない(図1)。
  3. アントシアニン合成系酵素遺伝子であるChs3(chalcone synthase)およびUfgt (UDP-glucose:flavonoid 3-O-glucosyltransferase)は、両品種間で相対DNA量に有意な差はないが、VvmybA1の相対DNA量は、「ピノ・ブラン」では「ピノ・ノワール」の約半分である(表1)。
  4. 「ピノ・ノワール」由来のゲノミック・クローンからは、レトロトランスポゾン(Gret1)の挿入により転写機能を失ったVvmybA1aと、転写機能のあるVvmybA1cの2種類が単離される。一方、「ピノ・ブラン」からは、転写機能のないVvmybA1a だけが単離される(図2)。このことは、「ピノ・ブラン」はアントシアニン合成を誘導する機能のあるVvmybA1を含むゲノム領域が「ピノ・ノワール」から欠失したヌル変異であることを示す。
成果の活用面・留意点
  1. ブドウの果皮色変異の機構解明に利用できる。
  2. 「ピノ・ブラン」では「ピノ・ノワール」のゲノム領域のどの部分が欠失したのか正確には明らかになっていない。
図表1 213194-1.jpg
図表2 213194-2.jpg
カテゴリ 品種 ぶどう

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