低温によるウンシュウミカンの花成誘導時期には茎のCiFT 遺伝子発現が増大する

タイトル 低温によるウンシュウミカンの花成誘導時期には茎のCiFT 遺伝子発現が増大する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2003~2007
研究担当者 遠藤朋子
清水徳朗
生駒吉識
西川芙美恵
大村三男(静岡大農)
島田武彦
藤井浩
発行年度 2007
要約  ウンシュウミカンでは低温により花成が誘導されるが、これに対応して茎におけるCiFT 遺伝子のmRNA発現量が増大することから、低温による花成誘導にはCiFT 遺伝子の発現が重要である。
キーワード ウンシュウミカン、花成誘導、CiFT 遺伝子、遺伝子発現
背景・ねらい
 果樹の成木では一般に周年的に花成が誘導される。リンゴやモモなどの落葉果樹では、夏に花成が誘導され、続いて花弁、雌ずい、雄ずいなどの器官形成が起こるが、ウンシュウミカンでは、秋から冬にかけての低温により徐々に花成が誘導され、その後花器官形成が起こるため、形態的に花芽を確認できるようになる時期が遅い。花成誘導は花芽確保に重要であるほか、その時期や程度は施設栽培における加温開始時期を左右するが、形態的な変化を伴わないため花芽形成の進行を推定することは困難である。
そこで、露地栽培や人為的な低温によってウンシュウミカンの花成を誘導した際の遺伝子の発現変動を解析し、花成誘導との関連を明らかにする。

成果の内容・特徴 1.露地で栽培している鉢植えのウンシュウミカン(カラタチ台接ぎ木1年生)から葉を切除後、25℃の恒温室に移して発芽させると(摘葉高温処理)、9月15日に摘葉高温処理を開始した場合には着花が観察されないが、10月15日の処理では着花し、以後着花数が増大することから(図1)、この時期に花成誘導が起こることが分かる。
2.露地栽培の鉢植えウンシュウミカン(カラタチ台接ぎ木1年生)から1年枝(葉を除いた茎部分)を経時的に採取し、花成関連遺伝子Citrus FLOWERING LOCUS T (CiFT )、C. sinensis TERMINAL FLOWER 1 (CsTFL )、C. sinensis LEAFY (CsLFY )、C. sinensis APETALA 1 (CsAP1 )について遺伝子発現を解析すると、他の遺伝子は花成誘導と対応した発現変動を示さないのに対し、CiFT は花成誘導時期にmRNA量が増大する(図2)。
3.新梢が硬化する6月下旬から1.5ヶ月以上15℃の恒温室で栽培し(低温処理)、その後、摘葉高温処理を行うと着花し、以後処理期間が長くなるにつれて着花数が増大する(図3)。低温処理を行わずに25℃の恒温室で栽培した場合には着花しない。この時、新梢におけるCiFTmRNA量は、1.5ヶ月低温処理を行った場合に増大し、低温処理を行わない場合にはほとんど変化がみられず、花成誘導と対応する(図4)。一方、CsLFY では2.5ヶ月の低温処理によりmRNAが増大し、CsTFL およびCsAP1 では低温処理の有無による差がほとんどみられず、花成誘導との対応関係がみられない(図4)。

成果の活用面・留意点
1.本研究の成果は、低温によりウンシュウミカンのCiFT 遺伝子発現が誘導され、そのことにより花成が起こることを示唆しており、遺伝子による花成制御機構の解明に重要な情報である。
図表1 213210-1.gif
図表2 213210-2.gif
図表3 213210-3.gif
図表4 213210-4.gif
カテゴリ 温州みかん 施設栽培 接ぎ木 もも りんご

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