タイトル | S遺伝子およびSSRマーカー解析によるニホンナシ55品種の来歴の確認 |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2000~2008 |
研究担当者 |
高田教臣 山本俊哉 木村鉄也(種苗管理セ) 壽 和夫 澤村 豊 齋藤寿広 |
発行年度 | 2008 |
要約 | ニホンナシ55品種の交雑親を自家不和合性(S)遺伝子型および18種のSSRマーカーの解析により同定した結果、12品種については既報の来歴と矛盾する。また、「新高」と「新興」の交雑親は、それぞれ「長十郎」と「天の川」、「二十世紀」と「天の川」であると推定される。 |
キーワード | S遺伝子、SSRマーカー、ニホンナシ、DNA鑑定 |
背景・ねらい | 公立場所等における計画的なニホンナシの品種育成が開始されてから約100年が経過している。その成果として品質および栽培性が優れるニホンナシ品種が育成され、現在、「幸水」、「豊水」、「新高」等の品種が普及し、新たに「あきづき」等の品種が増殖されている。ニホンナシの育種を行う上で交雑親の選択は非常に重要であり、遺伝解析を行う上でも各品種の遺伝的背景を明らかにすることは重要であるが、文献等に来歴が記載されている品種においても、その交雑組み合わせでは説明できない表現型や遺伝子型が報告され、その情報は混乱している。そこで交雑により育成されたニホンナシ47品種、枝変わりと報告される6品種、自然交雑実生と報告される2品種の計55品種に関して、S遺伝子型および18種のSSRマーカーの解析により親品種を同定し、それぞれの品種の来歴を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.交雑により育成された47品種のうち、10品種はその交雑親が矛盾する。その中で6品種については両親が推定され、また1品種は片親が推定される(表1)。 2.枝変わりと報告される6品種のうち2品種は交雑品種であると推定される(表2)。 3.主要品種の「新高」および「新興」の交雑親は、それぞれ「長十郎」と「天の川」、「二十世紀」と「天の川」であると推定される(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.SSR(Simple Sequence Repeat=単純反復配列)は、ヒトの親子鑑定、DNA鑑定で実用的に利用されている信頼度の高いDNAマーカーである。 2.「長十郎」、「天の川」等の品種がニホンナシの育成の有用な母本であることが明らかとなり、これら情報を母本の選定に利用できる。 3.自家摘果性品種「新高」の親品種が同じ自家摘果性を有する「長十郎」であることが明らかとなり、自家摘果性の遺伝解析に利用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 育種 DNAマーカー 日本なし 品種 |