北海道における数種一年生メディカゴ属牧草の生育特性

タイトル 北海道における数種一年生メディカゴ属牧草の生育特性
担当機関 (独)農業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 1999~2001
研究担当者 糸川信弘
松村哲夫
新良力也
池田哲也
発行年度 2001
要約 一年生メディカゴ属牧草の、バーレルメディックとスフィアメディックは、アルファルファの造成初年目の乾物収量より高い収量が得られる可能性が高く、北海道の畑作地帯での飼料利用が期待できる草種である。
キーワード 一年生メディカゴ属牧草、マメ科牧草、栽培、乾物収量、北海道
背景・ねらい
粗飼料自給率向上のため、畑作農家における粗飼料生産が期待されている。一年生メディカゴ属牧草(Annual medics、以下AM)は、アルファルファ(以下AL)と同属の牧草で、生育が速く一年生のため、畑作農家において生産する牧草として有望である。しかし、北海道におけるAMの栽培実績はほとんどない。そこで、オーストラリアで市販中の4草種について生育特性を明らかにする。
成果の内容・特徴
1.
いずれのAMも自殖性で、春播き(5月上旬播種)では、播種後60日目頃から開花が始まり、80日目頃から結実し始める。開花始め日は、スフィアメディック(Sphere
medic)、ストランドメディック(Strand medic)、スネイルメディック(Snail medic)、バーレルメディック(Barrel medic)の順に早く、それぞれの差は1~2日程度である。開花は2~3週間続き、この間も草丈の伸長は継続する。また、いずれも耐寒性が弱く、越冬はできない。
2.
スネイルメディック(以下Sn)は、 4草種中最も種子が大きく、千粒重はALの約8倍である(表1)。Snの草丈(伸ばした状態で測定)は、播種後80日目で70cmに達するが(図1)、匍匐するため草高(そのままの状態で測定)は30cm前後で推移する。Snの乾物収量は、常にALより低く推移し、ALより高い乾物収量を得るのは難しいと判断される(図2)。
3.
ストランドメディック(以下St)は、4草種中最も種子が小さく、千粒重はALより小さい。Stの乾物収量は、ALより若干高い値で推移する。Stは、土壌被覆能力は高いが、草高が25cm程度と他の草種より低く、収穫には不適と判断される。
4.
スフィアメディック(以下Sp)の草丈は、ALと同様の推移で伸長し、80cm以上に達するが、他のAMと同様に匍匐するため、草高は約30cmである。Spの乾物収量は、常に4草種の中で最も高い値で推移し、ALより高い収量が得られる可能性が高い。
5.
バーレルメディック(以下Ba)の草丈は、Snと同様の推移を示す。また、Baも他草種と同様に匍匐する。Baの乾物収量は、Spより低い値で推移するが、ALより高い収量が得られる可能性が高い。夏播きの場合、8月初旬に播種することにより150kgDM/10a程度の乾物収量が期待できる(図3)。
成果の活用面・留意点
1.
北海道の畑作地帯における飼料用一年生メディカゴ属牧草栽培のための情報となる。
2.
一年生メディカゴ属牧草は霜に弱いため、夏播きでは、収穫期の早霜に注意する。
3.
自然下種により雑草化する可能性がある。
図表1 213273-1.gif
図表2 213273-2.gif
カテゴリ 病害虫 アルファルファ 雑草 飼料用作物 耐寒性 播種

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