乳牛の反芻胃を通過する粗飼料粒子の大きさは草種によって異なる

タイトル 乳牛の反芻胃を通過する粗飼料粒子の大きさは草種によって異なる
担当機関 (独)農業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 1997~2001
研究担当者 大下友子
野中和久
久米新一
発行年度 2001
要約 アルファルファとトウモロコシサイレージはイネ科牧草に比べ、大きな粒子で反芻胃を通過する。消化パターンはアルファルファが反芻胃内で細胞内容物が速やかに消化されるのに対し、イネ科牧草では細胞内容物とヘミセルロースが緩やかに消化される。
キーワード 粗飼料、反芻胃通過、平均粒子サイズ、消化動態
背景・ねらい
反芻家畜の採食量を高めるためには、摂取された粗飼料の反芻胃における微細化、消化および通過を速めることが重要とされている。そこで、採食量を決める要因を明らかにするために、イネ科牧草に比べ採食量の多いアルファルファについて、乳牛の反芻胃を通過する粗飼料の粒子サイズと反芻胃における微細化・消化パターンを検討する。
成果の内容・特徴
1.
乾物消化率が同程度(65-69%)の4種類の粗飼料(アルファルファサイレージ;ALS、アルファルファ乾草;ALH、オーチャードグラス乾草;OGH、トウモロコシサイレージ;CS)を1日1回維持量摂取した乾乳牛(各粗飼料区に3頭ずつ配置)では、1mm以上の粒子サイズで反芻胃を通過し、糞中に排泄される割合は13-37%である。牧草類では6mm以上で排出される割合が1%未満であるのに対して、CSでは子実(乾物の約11%)が6mm以上で排泄される(図1)。
2.
糞の粒度分布から反芻胃通過の平均粒子サイズを算出すると、ALHでは0.3mm、ALSでは0.18mm、CSでは0.48mmとなり、OGHの0.08mmやイネ科混播生草(1番生草;P1=0.03mm、2番生草;P2=0.13mm)に比べ大きい(図2)。
3.
アルファルファは、反芻胃滞留初期に細胞内容物(OCC)が急激に減少しリグニン含有率が上昇するのに対し、オーチャードグラスではOCCとともにヘミセルロースが緩やかに消化され、リグニン含有率が増加する(表1)。両草種とも粒子サイズが0.5mm以下になるとセルロースの消化が急速に進む(図3)。 
4.
以上の結果は、乳牛では飼料の粒子サイズが6mmでも反芻胃通過が起こること、また、反芻胃通過の飼料粒子の大きさは草種によって異なることを示している。アルファルファでは摂取直後から起こるOCCの急激な消化と、不消化物がより大きなサイズで反芻胃を通過することが、イネ科牧草よりも摂取量が高い一因である。
成果の活用面・留意点
1.
粗飼料の飼料特性に基づく乳牛への効率的給与技術の開発に資する基礎的知見として活用できる。
2.
本データは、消化率の高い粗飼料を利用した知見であり、消化率の低い粗飼料の微細化、消化動態については別途解析の必要がある。
図表1 213291-1.gif
図表2 213291-2.gif
カテゴリ アルファルファ トウモロコシサイレージ 乳牛

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