プラスチックカップによるジャガイモシストセンチュウ抵抗性の新検定法

タイトル プラスチックカップによるジャガイモシストセンチュウ抵抗性の新検定法
担当機関
研究期間 2000~2004
研究担当者 百田洋二
串田篤彦
植原健人
森 元幸
高田明子
発行年度 2002
要約 小型の蓋付き透明プラスチックカップに検定イモと少量の殺菌土を入れ、ジャガイモシストセンチュウのシスト数個を接種した後、暗黒で20℃に保管することによって、感受性で約1カ月頃から線虫が確認できる極めて簡便な検定法を確立した。
キーワード ジャガイモシストセンチュウ、線虫抵抗性品種、簡易検定法
背景・ねらい ばれいしょ栽培にとって最も重要な線虫であるジャガイモシストセンチュウの有効な防除法は抵抗性品種の利用である。近年の新品種育成にはこの抵抗性を具備することが必須条件となっている。そのため、育成初期に線虫抵抗性の検定が行われているが隔離温室内でポットを使用する検定法となっているため、広い面積と大量の土壌を必要とし、殺菌土壌の調整や栽培管理、線虫調査、あるいは検定後の土壌消毒などに多大な労力を要している。そこで、省スペース化・省労力化を目的として密閉容器による線虫抵抗性検定法の簡便化を図る。
成果の内容・特徴
  1. 既製の約85mlの蓋付き透明スチロールカップ(図1)を使用し、少量の殺菌土壌(30ml程度)と検定イモにジャガイモシストセンチュウのシスト(5個程度)を接種、蓋をして約20℃で暗黒に保つ。これにより、カップ内では発根、線虫感染・寄生、雌成虫・シストへと成長が進み、抵抗性検定は60日以内に完了する(図2)。
  2. 検定開始1カ月程度でカップ面に張り付いたように伸びた根の表面に雌成虫が現れ始め(図1)、この時点で感受性系統を高率に除くことができる。
  3. ポット検定では線虫寄生の有無を根の土壌を落として確認するため調査は1回限りとなるが、カップ検定はカップを開けることなく、何回でも長期間にわたり観察調査が可能であり、ポット検定と精度が変わらない。
  4. カップ検定法では使用土壌が少なくてすみ、ポット検定法の1/6以下である(表1)。
  5. カップ検定法ではポット検定のように毎日の灌水が不要であり、10~15日に1回程度、蓋の穴から連続分注器で注水するだけでよい。
  6. 検定のための占有面積はカップ検定法ではコンテナーに積み重ねて収納するため、径9cmポットを使用するポット検定法の1/20以下で十分である。
  7. 検定終了後の汚染土壌はカップごと加熱消毒できるため、線虫飛散による試験施設汚染のおそれがない。
成果の活用面・留意点
  1. 検定イモは速やかに発根するように催芽処理しておき、シストの接種は予め増殖しておいた汚染土壌を使用するのが簡便であり、図3に示した手順で検定を行う。
  2. 根が伸張しても土壌が乾燥している場合は、線虫が感染できないので注意する
  3. 切りイモを種イモにすると腐敗する場合があるので、カップ内に収まる小イモを供試することが望ましい。
  4. ジャガイモシストセンチュウ未発生地において検定を実施する場合、管轄の植物防疫所長に対し「国内に発生している本種線虫の移動届け」が必要である。
図表1 213342-1.gif
図表2 213342-2.gif
図表3 213342-3.gif
図表4 213342-4.gif
カテゴリ 病害虫 簡易検定法 乾燥 栽培技術 新品種育成 抵抗性 抵抗性検定 抵抗性品種 土壌消毒 ばれいしょ 防除

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