タイトル |
哺育能力が高い血統で脂肪交雑に優れた黒毛和種種雄牛「北美津清号」 |
担当機関 |
道畜試 |
研究期間 |
1996~2002 |
研究担当者 |
酒井稔史
藤川朗
荘司勇
山本裕介
南橋昭
川崎勉
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発行年度 |
2002 |
要約 |
「北美津清号」は哺育能力の高い気高系の「賢深」を父に、藤良系の「糸光」を母方祖父とする血統で脂肪交雑が特に優れ、繁殖雌牛の改良に適した種雄牛である。
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キーワード |
黒毛和種種雄牛、北美津清、脂肪交雑、哺育能力
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背景・ねらい |
北海道における黒毛和種の飼養頭数は着実に増加を続けており、わが国の黒毛和種生産基地となることが期待されている。一方、本道の黒毛和種の産肉能力は府県と比較してやや低い水準にあるとされていることから、改良推進のための道産優良種雄牛の作出が急務となっている。本事業では、一般的な種雄牛検定法に受精卵移植技術を利用した全兄弟検定を組み込んだシステムを用い、哺育能力が高い血統で脂肪交雑に優れた「北美津清号」を作出した。
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成果の内容・特徴 |
- 受精卵移植技術を利用した全兄弟検定により予備選抜した候補牛の間接検定を行い優良種雄牛「北美津清号」を作出した。
- 血統:「北美津清号」は父系系統表記では気高系の「賢深」を父に、藤良系の「糸光」を母方祖父とする交配から作出された(図1)。
- 発育性:「北美津清号」の日増体量は直接検定で1.22kg/day、間接検定で0.92kg/dayで全国平均と同程度の水準であるが、検定開始時の体重が間接検定で228kgと小さく、全国平均の259kgに比較して育成時の発育が低い傾向にある(表1、2)。
- 産肉性:「北美津清号」の枝肉重量は間接検定で331kgと全国平均よりやや小さく、ロース芯面積も44cm2とやや小さい。ただし、これは開始時体重の影響も考えられる(表2)。脂肪交雑は間接検定で3.2と全国平均を大きく上回り(図2、表2)、哺育能力の高い気高系、藤良系の種雄牛では全国で上位の成績であり脂肪交雑の改良への貢献が期待される。
- 哺育能力:「北美津清号」は哺育能力が最も高い「賢深」を父にもち、母の血統が三代祖まで哺育能力の高い藤良系である。
- 遺伝病:「北美津清号」は「バンド3欠損症」、「第13因子欠損症」、「クローディン16欠損症」、「モリブデン補酵素欠損症」、「チェディアックヒガシ症候群」の遺伝子を保有していない。
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成果の活用面・留意点 |
- 哺育能力が低い田尻系・茂金系の繁殖雌牛への交配に適している。
- 増体系の系統のほとんどに交配が可能であるが、藤良系の雌牛への交配に適している。
- 近交係数の急激な上昇を避けるため、次の血統の雌牛への交配は望ましくない。
ア) 晴美系のうち賢晴、賢深の娘牛 イ) 藤良系のうち糸光、第7糸桜、北賢桜の娘牛 - 発育およびロース芯面積を小さくする雌牛への交配には注意を要する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
受精卵移植
繁殖性改善
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