乳中尿素窒素による放牧期の栄養モニタリング

タイトル 乳中尿素窒素による放牧期の栄養モニタリング
担当機関 根釧農試
研究期間 1998~2002
研究担当者 糟谷広高
原 悟志
上田和夫
高橋雅信
発行年度 2002
要約 放牧期において乳中尿素窒素(MUN)濃度を用いて乳牛が摂取したエネルギーと蛋白のバランスを評価できる。放牧期におけるMUN濃度は10~12mg/dlが適正値であり、上限は17mg/dlが目安となる。
キーワード 乳牛、乳中尿素窒素、MUN、放牧、モニタリング
背景・ねらい 一般に放牧草は蛋白質(CP)含量が高く、ルーメン内で分解されやすい。MUN濃度はルーメン内での蛋白質とエネルギーのバランスを示すことから、放牧期にMUN濃度を測定することにより放牧草の高CPを効率良く利用できているかが確認できる。そこで、本試験では、放牧期においてMUN濃度を適切に利用するため、放牧期における併給飼料の養分含量、給与回数および併給飼料の変更がMUN濃度に及ぼす影響について検討するとともに、放牧期におけるMUN濃度の適正値および適正範囲について推察した。
成果の内容・特徴
  1. 併給飼料中の圧片トウモロコシに対す大豆粕の比率を変えたL区(CP8.2%)とM区(CP13.6%)では、各放牧期において両区のMUN濃度に有意な差が認められる。併給飼料のCP含量の違いは、MUN濃度に大きく影響する(図1)。
  2. 併給飼料中のビートパルプと圧片トウモロコシの比率を変えたBP区(NDF33.0%)、M区(NDF24.4%)では、ビートパルプを多給したBP区は、M区より放牧草摂取量が低く、TDNおよびCP摂取量も低い。その結果、各放牧期においてTDN/CP比およびMUN濃度に有意な差は認められない(図2)。
  3. 併給飼料を変更した場合、給与変更日の翌日からMUN濃度に反映する(図3)。
  4. コーネル正味炭水化物・蛋白質システムにおけるルーメン内窒素バランスとMUN濃度は、強い相関があり(r=0.84)(図4)、ルーメン内窒素バランスが0g/日の時、推定MUN濃度は11.4mg/dlとなる。
  5. 日本飼養標準の推奨養分含量(4.9~5.3)に基づくTDN/CP比からMUN濃度を推定すると、10.1~12.1mg/dlとなる。また、日本飼養標準で推奨されている放牧期TDN/CP比の下限値4の時、MUN濃度は17.2mg/dlと推定される。
  6. 以上のことから、放牧期におけるMUN濃度は10~12mg/dlが適正値であり、上限値として17mg/dlが目安となる。また、MUN濃度は飼料変更後、翌日には変動することから、サンプリング前日および当日の放牧状態や併給飼料の変更には注意を要する。
成果の活用面・留意点
  1. 放牧期にMUN濃度用いて栄養バランスを評価する際に活用できる。
図表1 213377-1.gif
図表2 213377-2.gif
図表3 213377-3.gif
図表4 213377-4.gif
カテゴリ 大豆粕 とうもろこし 乳牛 モニタリング

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