タイトル |
低温特異的に発現が低下するイネ葯サチラーゼ |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2001~2004 |
研究担当者 |
川口健太郎
堂前直(理化学研究所)
船附秀行
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発行年度 |
2004 |
要約 |
イネ葯の小胞子期に特異的に蓄積し、低温により顕著に蓄積量が低下する糖タンパク質を見出し、サチラーゼと同定、遺伝子を単離した。イネ葯サチラーゼ遺伝子は低温により発現が抑制されることから、葯に特異的な低温感受機構と関連する可能性が高い。
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キーワード |
イネ、穂ばらみ期、障害型冷害、葯、サチラーゼ
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成果の活用面・留意点 |
- 小胞子期のイネ葯に特異的に蓄積し、低温処理で顕著に蓄積量が低下する分子量約85kDa及び82kDaの糖タンパク質が存在する(図1)。
- これらの糖タンパク質の部分構造ならびに遺伝子の塩基配列の解析結果は、糖タンパク質がサチラーゼ(サチライシン様セリンプロテアーゼ)であり(図2)、そのドメイン構造が他生物のサチラーゼと類似していることを示す。
- イネ葯サチラーゼ遺伝子は、テッポウユリの減数分裂期特異的遺伝子として単離されたセリンプロテアーゼLIM9遺伝子と相同性が高く、コードされる糖タンパク質は抗LIM9血清と反応する。このとき、82kDaの糖タンパク質との反応性がより強い(図3)。
- イネ葯サチラーゼは、葯以外の頴花組織や葉には蓄積しない(図3)。
- イネ葯サチラーゼ遺伝子の発現は幼穂の生長に伴い一過的であり、低温処理により発現レベルが低下する(図4)。
- イネ葯サチラーゼは低温により発現が減少することが初めて明らかになった、小胞子期の葯特異的タンパク質である。
- イネ葯サチラーゼの蓄積量低下と花粉の生育障害との関係は今後解析する必要がある。
- イネ葯サチラーゼは器官・時期特異的発現を示すことから、本遺伝子のプロモーター領域は小胞子期葯特異的発現制御への利用が期待できる。
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図表1 |
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カテゴリ |
凍害
ゆり
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