タイトル |
牧草の新しいTDN推定式の精度 |
担当機関 |
道立畜産試 |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
出口健三郎
中村克己
澤田嘉昭
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発行年度 |
2004 |
要約 |
NRC2001年版で採用された可消化成分の加算によるTDN推定式は、酵素分析分画に基づく現行式に比べて、オーチャードグラスでは推定精度が低いもののチモシーおよびマメ科牧草については推定精度が高く、北海道において有用である。
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キーワード |
TDN、NRC2001、TDN推定式、牧草、粗飼料
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背景・ねらい |
アメリカの乳牛飼養標準2001年版において採用されたTDN推定式(NRC01式)は、飼料成分を栄養的に均質な分画に分け、それぞれの理論的な可消化量を推定して加算する方法を採っている。道内においても平成16年度までに分析項目が整備され、NRC01式を普及現場で利用できるようになったが、現在道内で採用されている酵素分析分画からの回帰式(現行式)によるTDN推定値との間にギャップがあり、生産現場で混乱が生じつつある。そこでめん羊によるTDN実測値を使って、NRC01式の道内産牧草に対するTDN推定精度を検証する。
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成果の内容・特徴 |
- チモシーでは現行式と比較して決定係数(r2)に有意差はないが、誤差の平均値(Bias)が有意に小さいことから、精度がやや高い(表1)。
- オーチャードグラスでは点数が少なく、現行式と比較して有意差はないもののr2が極端に低く、Biasが大きいことから推定精度が低いと考えられる(表1)。
- マメ科草では現行式と比較してr2に有意な差はないが、Biasが有意に小さい(表1)。
- チモシーとマメ科を込みにした場合では、r2が現行式と同程度で、Biasが現行式より有意に小さい(表1)。またマメ科とチモシーの分布がほぼ一直線上に載ったことからマメ科とチモシーを同一の式で推定でき、特にチモシー・マメ科混播草において有用と考えられる(図1)。
- 全草種込み(全サンプル)では現行式と比較してr2が同等で、Biasが有意に小さく同等以上の精度を有している(表1)。
- 農家で生産調製された一般的な範囲のイネ科主体牧草サイレージにおいてNRC01式による推定値は現行イネ科式による推定値より約4ポイント高くなる(図2)。現行式がチモシーに適合していないためと考えられる。
- NRC01式は近赤外分析による成分推定値を用いた場合にも化学分析値によった値をほぼ実用的精度で再現できる(表2)。また、酵素分析分画からの回帰式を説明変数の一部(NDF-NDICP、ADL)に代入した場合においても実用的な精度を有している(表2)。代入する式および方法を表3に示す。
- 以上のことから、チモシー主体牧草が約90%を占める北海道においてNRC01式は牧草のTDN推定に有用である。
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成果の活用面・留意点 |
- 粗飼料分析サービスなどにおける牧草中TDN含量の正確な推定に活用できる。
- NRC01式ではオーチャードグラスに対して適合度が低いと考えられる。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「牧草の新しいTDN推定式の検証」(普及推進)
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図表1 |
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カテゴリ |
近赤外分析
乳牛
羊
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