タイトル | バラの夏秋期における高品質栽培技術 |
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担当機関 | 園芸環境科 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
野呂祐司 藤倉潤治 生方雅男 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 整枝法をハイラック仕立てとすることで慣行よりも長い切り花が多く得られ、特に切り花が短くなりやすい夏秋期の収益性が大きく向上する。養液土耕栽培の切り上げ仕立てでは土耕栽培よりも採花本数が増加し、収益性が向上する。 |
キーワード | バラ、整枝法、養液土耕 |
背景・ねらい | 北海道のバラ切り花生産は冬季には採花しない作型が一般的であり、夏秋期における品質や生産性のさらなる向上が求められている。そこで、長い切り花を多く生産できる技術として有望なハイラック仕立て法と養液土耕栽培を本道の作型に適用し、高品質栽培技術を確立する事を目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1.ハイラック仕立てでは、切り上げ仕立てよりも茎が長く、切り花重/切り花長の値も大きい切り花が得られる(表1)。採花本数は品種によって切り上げ仕立てより多くなる場合と少なくなる場合があるが、いずれも規格別では長い切り花の割合が大きく、特に切り花が短くなる高温期においても長い切り花が多く得られるため収益性が高い。採花法では元切り採花の方が1枚残し採花より品質が優れ、収量も同等以上である。 2.養液土耕栽培では、品質は土耕とほぼ同等であり、切り上げ仕立てにおいては土耕よりも採花本数が多くなる(表1および2)。また、土耕よりもかん水にかかる労力が軽減される。 3.ハイラック仕立てと養液土耕栽培を組み合わせた場合、定植3年目の採花本数がハイラック仕立て土耕栽培の場合よりも少なくなり、定植から3年間の合計でも同様の結果である(表2)。 4.窒素の吸収特性は仕立て法によって異なり、切り上げ仕立ては全体の吸収量は多いが剪定枝の分が大きく、切り花生産に結びつく割合はハイラック仕立ての方が大きい(表3)。 5.ハイラック仕立てにおける同化枝は、折り曲げから日数が経つにつれて働きが低下する。そのため北海道の冬期半休眠栽培においては、加温開始後3月から7月まで毎月1本同化枝の折り曲げを行い、株あたりの光合成能力を維持する事が望ましい。 6.経営試算の結果、ハイラック仕立て元切り採花では、切り上げ仕立てより採花本数が少ない場合でも長い切り花が多いため粗収益が増大し、新たに生じるコストも無い事から所得は大きく増加する。一方、養液土耕栽培の切り上げ仕立てでは、採花本数の増加により粗収益が増大し養液土耕システムの導入コストを吸収してなお、土耕よりも所得はやや大きくなる。ハイラック仕立てと養液土耕栽培を組み合わせた場合は、慣行や養液土耕単独よりは所得が多いがハイラック仕立て単独の場合よりも収量、所得ともに少なくなる。 7.経営試算から導いた所得により評価すると、供試したどの品種においても土耕および養液土耕の場合ともに「ハイラック仕立て元切り採花」が優れると判断された(表4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.バラの夏秋期における高品質栽培技術として活用できる。 平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「バラの夏秋期における高品質栽培技術」(普及推進) |
図表1 | |
カテゴリ | 経営管理 高品質栽培技術 コスト 栽培技術 ばら 品種 |