タイトル | 飼料用とうもろこしの破砕処理効果と簡易耕栽培 |
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担当機関 | 環境草地部 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
谷川珠子 大坂郁夫 川本哲 原悟志 中村克己 澤田嘉昭 扇勉 大原益博 小林泰男(北海道大学) 古川研治(十勝農協連) |
発行年度 | 2005 |
要約 | とうもろこしサイレージ(CS)の切断長は熟期に関わらず19mmとし、糊熟期では破砕は必要なく、黄熟期、完熟期のローラ間隔は各々5、3mmが適切である。破砕処理CS多給でTDN自給率82%、一乳期8500kgの乳量が得られる。簡易耕栽培は慣行法より収量が同等かやや低いが、播種時間を4割短縮できる。 |
キーワード | 乳用牛、とうもろこしサイレージ、破砕処理、簡易耕栽培 |
背景・ねらい | 飼料自給率を高めつつ効率的な乳生産を行うためには、高エネルギーで多収なとうもろこしサイレージ(CS)の利用が有効であるが、繊維不足に伴う代謝病の発生を懸念し、給与量は制限されている。破砕処理技術の利用により、子実の消化性の向上とともに切断長の延長による繊維効果により、CS給与量の増加が期待できる。また、飼料用とうもろこしの栽培にはコントラクターの利用が不可欠となっており、省力的な播種・栽培技術が求められている。 そこで、とうもろこしの収穫時の熟期に適した破砕処理条件を提示し、破砕処理CS多給時の乳生産や健康に及ぼす影響を明らかにするとともに、簡易耕を用いた飼料用とうもろこしの省力栽培技術を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1.糊熟期では破砕処理をしなくてもデンプン消化率が高く、切断長19mm・未破砕のときルーメン内可消化デンプン量および分娩後の体重増加量が多い(表1)。黄熟期はローラ間隔5mm、完熟期はローラ間隔3mmで破砕処理すると、未破砕に比べルーメン内デンプン消化率および可消化量が高く、乳量および体重増加量が多い。いずれの熟期でも切断長を9mmから19mmにすると反芻時間が増加し、物理性が向上する。しかし、切断長を22mmまたはローラ間隔を1mmにするとNDF消化率が低下し、養分利用性のさらなる向上はみられない。 2.以上より、とうもろこしの熟期別に推奨する破砕処理条件を表2に提示する。 3.黄熟期の破砕処理CS(切断長19mm・ローラ間隔5mm)を1乳期飽食給与すると、TDN自給率82%で8500kgの乳生産が得られる(表3)。破砕処理CS給与群で分娩後の体重回復が早く、健康への影響もないが、泌乳初期にエネルギー不足がみられ、併給飼料の検討が必要である。 4.十勝管内の酪農家で破砕処理CS(切断長17mm・ローラ間隔3.5mm)を多給(現物給与量36kg)しても、乳量は多給前後とも30kg/日で、第四胃変位の発生率にも差はない。 5.とうもろこしの収量は慣行法に比べ、とうもろこし跡では簡易耕栽培が同程度で、不耕起が10%程度減収する(表4)。草地跡では簡易耕が10%程度の減収に対し、不耕起は収量が大きく低下する場合があるため、不耕起は避けるべきである。 6.とうもろこしの耕起から播種に要する作業時間は、慣行法(5.8時間/ha)に比べて短縮され、簡易耕で3.4時間/ha、不耕起で2.1時間/haである。 |
成果の活用面・留意点 | 1.破砕処理とうもろこしサイレージは熟期により養分利用性が異なることから、飼料特性を考慮した飼料設計を行う必要がある。 平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「飼料用とうもろこしの破砕処理効果と簡易耕栽培」(普及推進) |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | コントラクター 栽培技術 飼料設計 飼料用作物 とうもろこし 乳牛 播種 |