露地野菜における有機物重点利用栽培導入のための圃場適性評価

タイトル 露地野菜における有機物重点利用栽培導入のための圃場適性評価
担当機関 北海道立中央農業試験場
研究期間 2001~2005
研究担当者 小野寺政行
中本洋
発行年度 2005
要約 有機物を重点的に利用した栽培法に対する圃場適性は、土壌の粘土含量、腐植含量、ち密度の3つの土壌特性値から簡易に評価できる。これらの特性値を用いて迅速に圃場適性を区分するための早見表を作成した。
キーワード 露地野菜、有機物重点利用栽培、土壌特性、圃場適性、評価法
背景・ねらい
食の安全や環境保全に対する関心の高まりに伴い、有機物を重点的に利用した栽培法(有機物重点利用栽培)を導入する動きがみられる。しかし、どのような圃場で同栽培法が容易にできるかといった、土壌の側面からみた難易度や適性評価に関する知見は乏しい。そこで、キャベツの収量性を指標として、土壌特性項目から同栽培法に対する圃場適性を簡易に評価する手法を確立する。

成果の内容・特徴 1.有機物重点利用栽培に対する圃場適性をキャベツの収量性(実収量および化学肥料栽培との収量比)から判断すると、各土壌群の適性は腐植質・淡色黒ボク土>泥炭土≒褐色低地土≒褐色森林土>>灰色低地土≒グライ土の順に高い(表1)。なお、キャベツはその養分吸収特性からみて有機物重点利用栽培がやや難しい野菜である。
2.各試験地の収量と危険率5%未満で有意な相関関係が認められる土壌特性項目は、化学肥料区ではち密度・容積重・粘土含量(農学会法)・腐植含量であるが、有機窒素区ではこれらに易有効水容量・熱水抽出性窒素含量が加わる(表2)。これらのことから、有機物重点利用栽培では土壌の堅密性や保水性などの物理性と窒素肥沃度が主に収量を規制していることが示唆される。
3.有機物重点利用栽培に対する圃場適性を定量的に評価するために、収量を目的変数、土壌特性項目を説明変数とし、変数増減法により重回帰分析を行った結果、収量(kg/10a)=6813-95×粘土含量(%)+870×腐植含量(%)-148×ち密度(mm)の推定式(R2=0.85)が得られた。
4.キャベツの目標収量に対する収量比に基づいて有機物重点利用栽培に対する圃場適性を5水準に区分(表3)し、土壌特性値(粘土含量、腐植含量、ち密度)から迅速に圃場適性区分するための早見表を表4に示す。
5.本評価法により、全道の野菜・普通畑202筆の同栽培に対する適性を区分したところ、本試験での土壌群の評価区分と概ね合致し、26%の圃場で適性がⅡ(中)以上である。

成果の活用面・留意点
1.本成果は、露地野菜全般を対象に、有機物重点利用栽培導入時の圃場選定のための判断材料および同栽培に向けた土壌改善点の情報を提供する。
2.有機物重点利用栽培では窒素含量が高く比較的速効的な有機質肥料の施用を基本とする。
3本評価法は、未分解泥炭が多量に混入した土壌や多湿黒ボク土を除く土壌で適用する。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「露地野菜における有機物重点利用栽培導入のための圃場適性区分」(普及推進)
図表1 213672-1.jpg
図表2 213672-2.jpg
カテゴリ 土づくり 肥料 キャベツ 評価法 その他の野菜

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