タイトル |
牛XY分取精子の受精能および分取精度評価 |
担当機関 |
家畜研究部 |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
陰山聡一
遠谷良樹
森安 悟
扇 勉
南橋 昭
尾上貞雄
平山博樹
宝寄山裕直
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発行年度 |
2006 |
要約 |
PCR法で、フローサイトメーターによる精子分取の精度を評価できる。黒毛和種の分取精子を用いた体外受精および人工授精により、子牛の性比を偏らせることができる。精子をクエン酸緩衝液で希釈し、MTG法で凍結することにより、生存性を向上できる。
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キーワード |
雌雄産み分け、分取精子、体外受精
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背景・ねらい |
XおよびY精子のDNA含量の差を利用し、フローサイトメータ(FCM)により分取する方法が開発され、牛の雌雄産み分けへの利用が検討されている。現在、分取精度は90%程度まで向上しているが、分取効率が低く十分な精子を供給することはできない。また、分取精度は、FCMによる再分取によって評価されており、その有効性を検証する必要がある。 本実験では、分取精度を客観的に評価する方法を開発するとともに、分取精子による人工授精および体外受精で受精卵を生産し、分取精子の有用性を検討する。また、利用できる分取精子数を増加させるために、精子の処理方法を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- PCR法により分取精子の性染色体検査を行った結果、FCMで再分取して評価した精度とほぼ一致し、XおよびY精子は想定された精度で分取されている(表1)。黒毛和種(種雄牛A)の体外受精成績は、媒精時間を延長することによって増加し、Y分取精子の発生率は対照よりも低い傾向を示す(表2)。体外受精成績の良い種雄牛B(参考値)は、媒精時間の延長により発生率が低下する。このことは精液によって至適な媒精時間が異なること、受精能が低いあるいは分取により受精能の低下した精子は媒精時間の延長により発生率が向上することを示唆する。Y分取精子による体外受精卵の雄の割合(72.2%)は対照(56.9%)に比較して高い。
- クエン酸緩衝液で希釈した精子(ホルスタイン種)はトリス緩衝液で希釈した精子に比較して先体正常率および運動精子率のいずれも高い値を示す(表3)。また、クエン酸緩衝液で希釈し、MTG法で凍結することで最も高い先体正常率および運動精子率が得られる。
- 黒毛和種(種雄牛A)Y分取精子を用いた人工授精は、発生率および正常卵率のいずれも対照に比較して低い(表4)。Y分取精子による受精卵の雄の割合は対照に比較して高く、FCMで再分取して評価した精度と一致する(表4)。受精卵移植により生産した子牛3例は、難産(双子)による死亡、生後直死および正常子牛が各1例であり、いずれも外貌、生時体重等に異常はみられない。生存した1例の体高および体重は黒毛和種の発育標準の範囲内である。
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成果の活用面・留意点 |
- 分取精度評価はFCMによる再分取で行い、PCR法による性染色体検査を定期的な分取精度の確認に利用する。
- FCMによる精子の分取効率を改善するための基礎データとして利用する。
- FCMによる分取精子を用いた受精卵生産効率の改善のための基礎データとして利用する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
受精卵移植
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