タマネギ乾腐病の多発要因と土壌・肥培管理による防除対策

タイトル タマネギ乾腐病の多発要因と土壌・肥培管理による防除対策
担当機関 栽培環境科
研究期間 2003~2006
研究担当者 角野晶大
小野寺政行
藤根 統
美濃健一
発行年度 2006
要約 土壌理化学性の悪化および不適切な肥培管理による根傷みや石灰の吸収阻害により、タマネギ乾腐病の発生が助長されていた。防除対策として、有機物の施用やプラウ耕等による土壌管理法と、施肥量の適正化、肥料形態の変更等による肥培管理法を提示した。
キーワード タマネギ乾腐病、成型ポット苗、耕種的防除、土壌管理、肥培管理
背景・ねらい 近年のタマネギ栽培では、成型ポット苗移植栽培が急激に普及し、たまねぎの栽培状況は大きく様変わりしている。その中で、タマネギ乾腐病が多発する事例が各産地から報告されており、多発要因の解明と防除対策の確立が求められている。そこで、タマネギ乾腐病の多発要因を全道的な規模で解析するとともに、本病の抜本的対策として土壌・肥培管理による防除技術を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 乾腐病の発生は空知・上川支庁で多く、気象の影響により年次間差が大きい。しかし、各地域で毎年相対的に発病の多い圃場があり(図1)、多発には気象とは別の要因の関与が示唆される。
  2. 病理学的側面から毎年相対的に発病の多い圃場について多発要因を解析した結果、土壌病原菌量(図2)、保菌状況、品種は近年の多発の主要因ではないと推察される。
  3. 多発要因を土壌肥料的側面から解析した結果、土壌の堅密性、透水性・保水性の不良、有機物の不足、低窒素肥沃度、リン酸肥沃度・保肥力・塩基バランスの不良との関連が認められる(表1)。土壌の物理性と化学性の両者が不良な圃場では、複合作用により発生を助長する傾向にある。相対的に発病の多い圃場では、根傷みや石灰の吸収阻害が認められる。
  4. これらのことから、乾腐病菌が十分量存在する圃場では、土壌理化学性や土壌・肥培管理に起因する根傷みや石灰の吸収阻害が生育不良を招き、乾腐病の発生を助長していると推定される(図3)。
  5. 土壌管理による発病軽減対策として、プラウ耕とたい肥施用、心土破砕(広幅型使用)が有効である。休閑作物や後作緑肥の導入はたい肥と同様に有機物の還元効果として土壌理化学性を改善し、軽減対策として有効であった。
  6. 肥培管理による発病軽減対策として、窒素・リン酸施肥量の適正化、塩類濃度をあまり高めない肥料への代替が有効であった。さらに、土壌の塩基バランスが不良で保水性に劣る圃場では、石灰質資材施用が有効である。
  7. 実証試験では、耕起法の改善、たい肥の施用、塩類濃度低減施肥法の導入を組み合わせることで乾腐病の発生を軽減でき、収量性も良好となる(表2)。
  8. タマネギ乾腐病に対する土壌・肥培管理による防除対策指針を作成した(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 防除効果を高めるために、土壌・肥培管理対策を組み合わせて総合的に行う。
  2. 心土破砕、耕起、整地作業を行う際は、湿潤時を避け、適土壌水分下で作業する。
  3. 土壌理化学性は土壌診断基準値を目標に改善する。なお、土壌改良資材を投入する場合は土壌診断を行い、資材の過剰投入を控える。
図表1 213767-1.jpg
図表2 213767-2.jpg
図表3 213767-3.jpg
図表4 213767-4.jpg
図表5 213767-5.jpg
図表6 213767-6.jpg
カテゴリ 肥料 病害虫 施肥 たまねぎ 土壌改良 土壌管理技術 土壌診断 肥培管理 品種 防除

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる