タイトル |
水稲品種「おぼろづき」の食味評価と石狩・空知南部における栽培指標 |
担当機関 |
基盤研究部 |
研究期間 |
2004~2007 |
研究担当者 |
後藤英次
長田亨
木下雅文
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発行年度 |
2007 |
要約 |
良食味な「おぼろづき」の品質目標はタンパク質含有率8%未満、アミロース含有率12%以上、16%未満であり、栽培目標は総籾数32千粒/m2~33千粒/m2、窒素吸収量9~10kg/10a程度、精玄米収量470kg/10a(篩目1.90mm)、510kg/10a(篩目1.85mm)である。
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キーワード |
水稲、おぼろづき、タンパク含有率、アミロース含有率、調製
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背景・ねらい |
アミロース品種は、アミロース含有率が低いことによる食味向上効果が高く、タンパク質含有率が高くなりがちな泥炭土でも良食味米生産が期待できる。そこで、低アミロース品種「おぼろづき」の品質・食味特性と変動性を解析し、求められる品質目標を検討する。また、本品種の栽培特性を検討し、泥炭土の広く分布する石狩および空知南部地域における栽培の指標を提案する。
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成果の内容・特徴 |
- アミロース含有率が低いことにより、食味評価の「口当たり」「粘り」「柔らかさ」など食感の項目において他の一般うるち品種に比べ、「おぼろづき」は高く評価される。また、炊飯後の硬化、老化程度が緩慢であり、冷めてもその高い食味が維持される(データ省略)。
- 農試(北海道立中央・上川・道南農試、北海道農業研究センター)の奨励品種決定圃場およびそれに準じる圃場の気象データから得られた回帰式はy=-0.9447X+34.669、R2=0.7495(X=出穂後30日間平均気温、Y=アミロース含有率)であり、アミロース含有率は出穂後30日間の平均気温が1℃上昇すると約1%低下する(図1)。
- 食味官能試験より「おぼろづき」の食味は、タンパク質含有率8%未満、アミロース含有率12%以上、16%未満で、基準となる「ほしのゆめ」(4カ年平均,タンパク質含有率7.2%、アミロース含有率20.2%)より明らかに優る(図2)。
- 「おぼろづき」の総籾数や不稔歩合等は他の主要品種とほぼ同等であるが、千粒重は明らかに軽く、精玄米収量は劣り、タンパク含有率は高い傾向にある(データ省略)。
- グレーダーの篩目の拡大により精玄米の歩留まりが著しく低下する。篩目1.85mm~1.95mmの白米白度、タンパク質含有率、アミロース含有率についての影響は小さい(表1)。
- 石狩・空知南部地域における「おぼろづき」の栽培において、倒伏が無く、タンパク質含有率8%未満を達成できる条件として、総籾数32千粒/m2~33千粒/m2、窒素吸収量9~10kg/10a程度、精玄米収量470kg/10a(篩目1.90mm)、精玄米収量510kg/10a(篩目1.85mm)を暫定的な指標として提案する(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本試験結果は、主に空知南部および石狩地域の泥炭土で得られたデータであり、他の地域については検討が必要である。
- 調製の篩目は1.85mmの使用も可だが、外観品質を確認の上で色彩選別も併用する。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名及び区分 水稲品種「おぼろづき」の食味評価と石狩・空知南部地域における栽培特性(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
水稲
品種
良食味
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