タイトル |
AHP(階層分析法)による大規模畑作経営の技術開発ニーズの評価 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
細山隆夫
若林勝史
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発行年度 |
2007 |
要約 |
十勝大規模畑作経営では、てん菜褐斑病抵抗性品種やばれいしょそうか病抵抗性品種に対するニーズが強く、小麦では低収地域に適した品種、また豆類では高収量・安定した収量の品種や高水分でも可能な汎用コンバイン収穫技術が望まれている。
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キーワード |
十勝畑作、大規模経営、技術開発ニーズ、AHP(階層分析法)
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背景・ねらい |
畑作経営の高齢化や離農が進行するなかで、十勝中央部では50ha規模の家族経営が出現し、さらに周辺部・山麓部では100haを超える超大型の雇用型法人経営が見られるようになった。今後、地域の担い手としてこうした経営の展開が期待されるが、効率的かつ安定的な経営体の実現には、経営規模にマッチした技術の開発が求められる。本研究では、AHP(階層分析法)を適用して十勝大規模畑作経営における技術開発ニーズを明らかにし、今後の技術開発の方向性を提示する。
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成果の内容・特徴 |
- AHPのための技術開発ニーズの抽出と評価階層構造の定式化
十勝地域のJA4機関のヒアリング調査から十勝畑作地域に共通する技術開発ニーズ(作物毎に5項目)を抽出し、それらの重要度を評価するため、収益性と省力化を評価基準にもつ評価階層構造を定式化すると図1のようになる。
- AHP(階層分析法)による大規模畑作経営の技術開発ニーズの把握
畑作4品目を基幹作物とする大規模経営(表1、A経営:十勝中央部の大規模家族経営、B経営:十勝中央部でも立地・圃場条件のやや劣る地域に立地し、家族経営の限界規模を超える家族経営、C経営:十勝山麓部で経営規模100haを超える雇用型法人経営)における作物毎の技術開発ニーズの重要度は表2のとおりである。 1)てん菜では、防除回数減少による省力化、低コスト化の期待から「褐斑病抵抗性品種」開発へのニーズが大きい。また直播は省力化の効果が認識されつつも、気候条件の不利なB経営やC経営では風霜害による収量リスクへの不安が大きく、「育苗ポットの軽量化」など移植での省力化の方が望まれている。 2)ばれいしょでは、そうか病が収益性の低下だけでなく、選別作業の負担増、収穫の効率低下に直結することから、「そうか病抵抗性品種」の開発に対するニーズが大きい。また同じような理由で、「歩留まり向上のための栽培技術」や「打撲損傷の少ない高速ハーベスタ」へのニーズも大きい。 3)小麦については、気候条件の不利な圃場も抱えるA経営、およびC経営で「低収地域に適した品種」の開発が望まれている。また、収量や品質に関連して天候リスクに対応しうる「施肥技術の改善」が望まれている。 4)豆類では「高収量・安定した収量の品種」の開発に対するニーズが大きい。また、収穫に関わって「高水分時でも可能」な「汎用コンバイン収穫技術」の開発が望まれている。これは収穫時期における降雨が汚粒、色流れを発生させ、同時に作付拡大も制約しているためである。
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成果の活用面・留意点 |
- 活用にはサンプル経営との相違(地域や作物構成等)に留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
経営管理
小麦
栽培技術
省力化
施肥
大規模経営
抵抗性品種
低コスト
ばれいしょ
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品種
防除
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