タイトル |
オペレータ増員によるロールベールサイレージ収穫・調製期間短縮の効果と支援方策 |
担当機関 |
道立根釧農試 |
研究期間 |
2006~2007 |
研究担当者 |
吉澤 晃
沓澤 淳
鈴木善和
甲田裕幸
山田輝也
関口建二
西道由紀子
田澤直樹
原 仁
渡邊祐志
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発行年度 |
2007 |
要約 |
ロールベールサイレージ体系においてオペレータの増員は牧草収穫期間の短期化や、労働時間低減と産乳量増加の効果をもたらす。農家におけるオペレータ増員を容易化するためには、職業紹介事業を組み込んだJA直轄のオペレータ利用システムが有効である。
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キーワード |
ロールベール、収穫短期化、オペレータ、職業紹介事業、労働支援システム
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背景・ねらい |
ロールベールサイレージ(以下、RBS)体系が主体のA町では、労働力不足により収穫作業が長期化しており、早急な改善が求められている。そこでオペレータ増員による牧草収穫・調製期間短縮の効果を明らかにするとともに、オペレータ増員のためのJAを核としたオペレータ利用システム案を提示する。
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成果の内容・特徴 |
- 経営実態からRBS体系の収穫期間が平均13日の短期群と29日の長期群を比較した結果、両者とも牛舎作業の労働時間は配偶者の方が多いが、短期群では経営主・配偶者の収穫期間中の労働の延べ時間が短く済んでいた。また、短期群では個体乳量が明らかに高く、分娩間隔と初産分娩月齢の繁殖成績も良好であり、収益(乳代-飼料費)も高い(表1)。その要因の一つとして自給粗飼料品質の向上と、発情監視等牛群管理時間の十分な確保にあると推定できる。
- 経産牛70頭、収穫面積55haの経営において、チモシー草地で出穂始に収穫を開始する条件で、収穫期間を29日から13日へ短縮することによる産乳性の向上効果を試算した結果、TDN含量60%以上の粗飼料が多く確保できることにより試算産乳量で12t増加、濃厚飼料で4t削減が見込まれる(表2)。
- A町のRBS収穫体系農家に対する労働支援のあり方について、想定される支援主体別に検討したところ、ア)地元企業の人材派遣方式は許可取得や経費発生により利用料金が高くなるとともに利用時に人材供給の不安がある、イ)請負契約方式は注文主と労働者の間に指揮命令関係がなく、連携作業をする上で問題をはらむことが懸念される。これに対し、ウ)JAによる無料職業紹介方式はJAが職業紹介責任講習会受講と無料職業紹介事業の届出を必要とするが、利用料金、事務手続きの簡素化等、農家が利用しやすいシステム構築が可能と想定される(表3)。
- A町を想定した場合、JAによる無料職業紹介方式によるオペレータ利用システムの役割は利用料金目安設定や事務管理支援、技術研修の実施、契約期間の調整を担うことがあげられ、メリットとして農家には利用料金格差の是正、契約事務の簡素化、地域には新規就農参入予定者の就労および技術力向上の場とすること、地域内人材(農業者OB・オペレータ経験者)を有効活用することなどがある(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- ロールベールサイレージ体系主体の地域に対して、オペレータ支援体制構築とその運営に活用する。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「ロールベールサイレージ主体の酪農地域における収穫作業効率化のための労働支援のあり方」
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
経営管理
乳牛
繁殖性改善
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