タイトル |
ジャガイモ主要病害虫を網羅的に同時検出できるマクロアレイ |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
眞岡哲夫
堀田光生
植原健人
佐山 充
畑谷達児(北大院農)
田中文夫(道立中央農試)
丸田幸男((株)ラボ)
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発行年度 |
2007 |
要約 |
ジャガイモ生産上重要なウイルス・ウイロイド、細菌、線虫、合計19種を検出できるマクロアレイを作製した。本アレイを利用することによって高感度かつ迅速に主要病害虫を同時検出できる。
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キーワード |
ジャガイモ、ウイルス・ウイロイド病、細菌病、線虫、マクロアレイ、網羅的検出、遺伝子診断
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背景・ねらい |
ジャガイモは栄養体で増えるため、種いもに病害虫が感染すると、大きな被害をもたらす。ジャガイモの主要病害虫には、ウイルス・ウイロイド病、細菌病、ジャガイモシストセンチュウ等があるが、種いも検査等の場面で、個々の病害虫を検出する技術は、技法、所要時間、感度、習熟する人材もそれぞれ異なり、全ての病害虫について一回の試験で検出できる方法は確立されていない。わが国に発生記録のあるジャガイモウイルスについては、既に検出特異性の高いマクロアレイによる検出法を開発したが、この手法を細菌や線虫にまで拡大し、これら主要病害虫を高感度かつ迅速に検出できる遺伝子診断法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- わが国にこれまで発生記録があるジャガイモウイルス12種、海外からの侵入が予想される重要ウイルス・ウイロイド3種、細菌病3種、ジャガイモシストセンチュウの合計19病害虫(表1)の遺伝子から、特定領域をクローニングし、PCRで300-800bp程度のcDNA(キャプチャープローブ)を増幅して、3.5cm×8.5cmのナイロンメンブレンに1病害虫あたり9個所スポットしたマクロアレイを作製する(図1)。
- 検体として各病害虫(感染植物、培養上清、線虫)からRNAまたはDNAを抽出し、各病害虫遺伝子特異的プライマーセットを用いたRT-PCRまたはPCRでビオチン標識し、標識cDNAを混合してマクロアレイ解析を行うと、1枚のマクロアレイ上の発色反応として、生物分類の大きく異なる各病害虫を特異的に同時検出できる(図1、図2)。
- 各工程では以下の市販試薬類・方法を用いる(図2)。1)遺伝子抽出:RNA抽出、Trizol(Invitrogen);DNA抽出、熱抽出法。2)標識cDNAの合成:RT-PCRの逆転写反応、Random 9mer primer (TaKaRa)、AMV Reverse Transcriptase XL (TOYOBO);標識PCR、Biotin-16-dUTP (Roche)、Ampli-Taq Gold LD (AB)。3)ハイブリダイゼーション:ハイブリ溶液、PerfectHyb(TOYOBO)。4)化学発色による検出:Streptavidin (NEB)、 AP標識Streptavidin(NEB)、 NBT/BCIP(Roche)。
- 既発生ウイルスのみならず、侵入が警戒されるウイルス・ウイロイドや、従来法では煩雑で感度の低かった細菌、線虫を含め、主要19種の病害虫を同一のマクロアレイ上で短時間(28時間)、高感度に検出できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本検出法はジャガイモ種いも生産における病害虫診断や検疫等に利用できる。
- 本マクロアレイは上記連絡先・㈱ラボ(http://www.labo.co.jp/contents/jutaku.html)より入手可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
害虫
ばれいしょ
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