タイトル |
哺育・育成牛のためのパイプハウス牛舎の利用技術 |
担当機関 |
道立根釧農試 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
関口建二
大坂郁夫
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発行年度 |
2008 |
要約 |
耐雪型パイプハウスに隔柵支柱と一体の補強構造を追加することで、管理作業の機械化のための空間確保と構造強度の向上を両立できる。日射の活用により冬季でも哺育期間の平均舎内温度は0 ℃以上に維持され、0-4週齢牛の増体は0.5 kg/日以上が可能である。
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キーワード |
パイプハウス、哺育・育成牛舎、若齢子牛、増体
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背景・ねらい |
小・中規模の酪農家では哺育・育成牛の飼養を専用牛舎ではなく、カーフハッチ、あるいは成牛舎の一部を利用する例が多いが、過重な管理労働や飼養環境悪化の要因になっていた。そこで低廉なパイプハウスを利用した小・中規模(収容頭数20頭程度)哺育・育成牛舎の施設構造や環境制御方法を整理し、自然条件や環境条件に応じた利用法を提示する。
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成果の内容・特徴 |
- パイプハウス哺育・育成牛舎の基本構造には市販されている間口9m奥行18mの耐雪型パイプハウスを用い、隔柵支柱と一体化した内部補強構造を採用する。内部補強構造の追加により同一負荷の場合の変形量は大きく軽減され(図1)、牛舎管理作業に必要な機械の使用を可能とする空間を確保するとともに、構造強度の向上が可能となる。牛舎利用管理の要点を表1に示す。
- 銀色の遮光フィルム(遮光農ビ,0.1mm厚,遮光率99%)を通年で舎内に展張することで、風の影響を考慮することなく夏季の遮光と冬季結露のぼた落ち回避策として有効である。開口部からの鳥獣の侵入対策には開口部へのネットおよびチェーンの設置が有効である。自家労力を使用した場合の建設費用は牛舎本体に約170万円、床面へのコンクリート打設など土工関連に約150万円、舎内設備類に約40万円で総額およそ360万円である(データ省略)。
- 夏季は強風・大雨時を除いて開口部全ての開放を基本として管理する。舎内温度は外気温より2~3℃高く推移し、飼養牛は日中では舎内の日陰に、日没後は舎外の草地に滞在する時間が多い。また、冬季の管理は開口部全ての閉鎖を基本とするが、昼間の晴天時など極度の低温や雪の吹き込みがない状況では積極的に開口部からの換気に努める。舎内温度は夜間や曇天・降雪時で外気温より5℃程度、晴天時は10℃前後高く制御することが可能である。冬季の平均温度はパイプハウスが最も高く、育成牛舎、育成牛舎内カーフハッチの順となる(図2)。
- 人工乳を給与せず、代用乳8L/日・哺乳期間8週の飼養条件において、パイプハウス牛舎は冬季でも哺乳期間内の平均気温を0 ℃以上に維持できたため、熱産生のためのエネルギー増加量が軽減され、0-4週齢牛の増体は0.5 kg/日以上が可能である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- パイプハウスを用いた低コストな簡易哺育・育成牛舎を利用する際に活用する。
- 本成果は間口9m奥行18mの耐雪型パイプハウスを利用した場合の結果である。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および判定区分 「哺育・育成牛のためのパイプハウス牛舎の利用技術」(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
環境制御
機械化
低コスト
乳牛
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