タイトル |
セルリーのチューブかん水栽培における減化学農薬・減化学肥料栽培技術 |
担当機関 |
生産環境部 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
富沢ゆい子
角野晶大
中辻敏朗
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発行年度 |
2008 |
要約 |
チューブかん水の導入および適切な薬剤選択と適期防除により、斑点病と軟腐病を慣行よりも少ない薬剤使用回数で防除できる。また、土壌診断に基づく窒素施肥対応により総窒素施用量の適正化が図られ、化学肥料窒素施用量を慣行から大幅に削減できる。
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キーワード |
セルリー、かん水、斑点病、軟腐病、腐敗病、土壌診断、窒素施肥対応
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背景・ねらい |
セルリーは窒素吸収量に対して施肥量が多く(慣行の化学肥料窒素施用量54kg/10a)、現行の頭上かん水栽培では圃場からの窒素溶脱が懸念される。また、主要病害の斑点病は薬剤の散布回数を増やすだけでは病害を抑えきれず、頭上かん水栽培が斑点病や軟腐病の発生に影響を与えている可能性がある。そこで、これらの問題点を解決するためチューブかん水栽培技術、減化学農薬栽培技術、減化学肥料栽培技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 調製重(調製後の1株重)、窒素収支、総かん水量からみると、無加温促成作型ではチューブ3/4区(1回当たりかん水量が圃場容水量(pF1.5相当)の3/4量)、抑制作型ではチューブFC区(同圃場容水量)が適切なチューブかん水法と判断される(表1)。また、チューブかん水区での調製重低下には生育初期の株元の土壌水分不足の影響が疑われる。
- チューブかん水栽培により各種病害の発生が減少し耕種的防除法と位置づけられる。減化学農薬栽培への寄与が大きい(データ省略)。
- 斑点病に対して薬剤ごとに効果に違いがあり、チューブかん水では卓効薬剤は14日間隔散布でも効果が認められる(表2)。チオファネートメチル水和剤は高度耐性菌が発生しており効果はない(表2)。
- Pseudomonas marginalis pv. marginalisによる腐敗病が発生しており、軟腐病と混発している。軟腐病に対して薬剤ごとに効果に違いがあり(表2)、腐敗病(未登録ではあるが)に対しても効果が期待できるものがある。
- チューブかん水栽培において、複数病害への同時防除、斑点病での被害許容水準(発病度で25)、定植時や葉掻時の薬剤防除の必要性、栽培期間を通した効率的な薬剤散布方法を明らかにし、病害に対する減化学農薬栽培技術を作成した(表3)。
- セルリーは窒素施肥に対する反応が緩慢なため、十分な調製重を得るためには土壌窒素肥沃度を高めるとともに、化学肥料窒素施用量を適正範囲とすることが重要である(データ省略)。調製重は窒素吸収量と有意な正の相関を示し、その窒素吸収量は合計窒素供給量(総窒素施用量+土壌窒素供給量)と密接に関連することから、土壌窒素供給量に対応した総窒素施用量ならびに化学肥料窒素施用量の上・下限値を設定した(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成績は無加温促成および抑制作型(ともにハウス栽培)のチューブかん水栽培に対して活用する。
- 虫害に対しては平成18年度指導参考事項「セルリーの肥培管理・病害虫防除の実態と改善方向」を遵守し、アシグロハモグリバエ発生地では、本年度提出課題「てんさいのアシグロハモグリバエ防除対策」を参照して対策を講じる。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「セルリーのチューブかん水栽培における減化学農薬栽培技術と土壌診断に基づく施肥対応」(普及推進)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
栽培技術
施肥
セルリー
耐性菌
てんさい
土壌診断
農薬
肥培管理
病害虫防除
防除
薬剤
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