トマトのカリ収支に基づくカリ施肥基準の改訂性

タイトル トマトのカリ収支に基づくカリ施肥基準の改訂性
担当機関 予察科
研究期間 2007~2008
研究担当者 小野寺政行
新村昭憲
発行年度 2008
要約 北海道におけるトマトのカリ施肥基準を、養分収支および収量性、病害発生面などに基づき、収穫残渣物の全量搬出を前提として現行より20kg/10a加算した値(6段どりの施肥標準は総施肥量56kg/10a)とし、加算分は基肥で施用する。
キーワード トマト、カリウム、養分収支、施肥基準、カリ欠乏症、灰色かび病
背景・ねらい
    カリ施用量がトマト収量および養分収支、カリ欠乏症・灰色かび病の発生に及ぼす影響を明らかにし、これらに基づいてカリの施肥基準を改訂する。
成果の内容・特徴
  1. 総収量10~11t/10aを得たときのトマトのカリ吸収量は、50~57kg/10aの範囲にあり(表1)、収穫残渣物を全量搬出することを考慮すると、現行の北海道施肥標準量(6段どりで36kg/10a)では、カリの投入と持ち出しの収支が20kg/10a近く不足する。この不足量は茎葉のカリ吸収量とほぼ同等である。
  2. トマトの良果収量が最大となるカリ施肥量(平成19年度:60kg/10a、同20年:40kg/10a)は、現行の施肥対応基準に基づくカリ施肥量より24~30kg/10a多い(表1)。また、良果収量が最大となった処理区では、障害果の発生程度も少ない傾向にある。穂ばらみ期の耐冷性は「はくちょうもち」「風の子もち」より強い“極強”であり、 開花期耐冷性は“中~やや強”である(図1)。
  3. トマトの良果収量が最大となるカリ施肥量では、跡地土壌の交換性カリ含量が作付け前とほぼ同水準に維持される(表2)。
  4. カリ欠乏症は、発症初期(第2果房肥大盛期頃)にカリ施用量の多い処理区で発症葉数割合がやや少なく発症を遅延させる傾向にあるが、生育が進むにつれ施用量との関係は判然としなくなる(データ省略)。その要因としては着果負担の影響が考えられる。
  5. 灰 色かび病の発病は、温度・湿度・換気等のハウス内の環境の影響を受けるが、葉の栄養状態(貧弱、塩基のアンバランス)の悪化によっても発病が助長されることが示唆される。すなわち、土壌および施肥由来のカリ供給量が比較的少なかった平成19年度の試験では、カリ施用量の減少に伴って葉の養分含有率が低下し(データ省略)、灰色かび病の発病葉数が増加する傾向にある(図1)。一方、カリ供給量が比較的多かった平成20年度の試験では、葉中の塩基バランスと灰色かび病の発病葉数との間に有意な負の相関関係が認められ(図2)、カリ供給量の過剰に伴う塩基バランスの悪化によっても発病が助長される。このことから、灰色かび病の発生を助長させないためには、葉の栄養状態を悪化させないように養分供給の過不足に留意する必要がある。玄米品質は、「はくちょうもち」「風の子もち」並で、検査等級は「はくちょうもち」「風の子もち」にやや優る。
  6. 以上の結果から、収穫残渣物の全量搬出を前提としてトマトのカリ施肥基準を次のよるに改訂する。施肥標準および土壌診断に基づく施肥対応におけるカリの基肥施肥量を現行よりそれぞれ20kg/10a加算した値(施肥標準:6
成果の活用面・留意点
  1. 堆肥に含まれるカリの評価は現行通りとする。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「トマトのカリ収支に基づくカリ施肥基準の改訂」(指導参考)
図表1 214047-1.jpg
図表2 214047-2.jpg
図表3 214047-3.jpg
図表4 214047-4.jpg
カテゴリ 障害果 施肥 土壌診断 トマト

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