タイトル |
高地温時の球根植え付けはチュ−リップ球根腐敗病多発原因の一つになる |
担当機関 |
富山県農業技術センタ- |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
球根植え付け時の地温とチューリップ球根腐敗病の発病には密接な関係があり、地温の高い秋早くの植え付けは本病多発原因の一つとなる。病害抑制の観点からは地温が15℃程度の時期以降の植え付けが望ましい。
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背景・ねらい |
近年、栽培規模拡大に伴い植え付け時期が早まっている。これは地温がまだ高い時期に球根を植え付けることを意味するが、時を同じくして球根腐敗病も多発している。本病の多発生には種々の要因が関与すると考えられるが、ここでは地温と発病の関係を明らかにし、本病の防除対策を講じる一助とする。
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成果の内容・特徴 |
- 病原菌接種球根をポットに植え付け、10、15、20及び25℃にそれぞれ1、2及び4週間保持後、堀取ると15℃、2週間以上の区で根盤やりん片に病斑が見られ、その程度は高温ほど、また期間が長いほど激しい(表1)。特に25℃に2週間以上保つと地中で腐敗し萌芽しない。
- 同様の処理を行い翌春の発病を調べると、発病株数は高温持続期間が長いほど高くなる(図1)。
。 なお、発病には大きな品種間差異が見られる(デ-タ略)。
- 本病の感染時期は植え付け直後であるが(表1)、地温低下に伴い潜伏状態となり、翌春開花期以降発病(早期枯れ上がり)する。
- 植え付け直後の球根各部の病原菌量は10℃及び15℃設定区は4週間たっても、ほとんど増加しないが、20℃及び25℃では10~100倍に増加する(nit変異菌使用、図3)。
- 植え付け直後の球根各部の病原菌量は10℃及び15℃設定区は4週間たっても、ほとんど増加しないが、20℃及び25℃では10~100倍に増加する(nit変異菌使用、図3)。
- 9月中旬から2週間間隔でチューリップ球根を植え付けると翌年の立毛中の腐敗は早植え区ほど多い。貯蔵中の腐敗はいずれの区もほぼ同程度である(図2)。
- 植え付けの適期は球根腐敗病抑制の観点からは地温が15℃程度の時期である。ちなみにこの時期は富山県西部では、11月上旬に当たる(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本方法は耕種的防除法の一つであり、従来からの防除法(球根選別の徹底、植え付け時の薬剤消毒の徹底、窒素質肥料の調整、圃場排水の徹底等)と組み合わせた上で適用すること。
- 大規模栽培などでやむを得ず早植えをする場合、本病に抵抗性の強い品種から植え付ける。
- 本成果は灰色低地土での結果であり、砂丘地帯では別に考慮する必要がある。また他地域での植え付け時期の決定はその地方の地温デ-タ(地下15cm)から換算すること。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
規模拡大
チューリップ
抵抗性
品種
防除
薬剤
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