施肥窒素の玄米生産効率に基づく水田生産力の新指標

タイトル 施肥窒素の玄米生産効率に基づく水田生産力の新指標
担当機関 北陸農業試験場
研究期間 1997~2000
研究担当者
発行年度 1997
要約 水稲の窒素施用量試験の無窒素区及び三要素区の玄米収量、三要素区の窒素施肥量から500kg/10aの収量を得るのに必要な窒素施肥量(Nf)を求める式を策定し、この Nfを肥培管理のための新たな水田生産力指標とする。
背景・ねらい 水田生産力の指標として土壌からの窒素発現量がしばしば利用される。これは、窒素無施用条件での水稲収量にはよく対応するが、施肥窒素の損失等についての情報が欠けているので施肥条件下での水田生産力の目安としては不十分である。そこで、施肥条件下での水田生産力指標について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 玄米収量500kg/10aの水準では、収量は窒素施肥量にほぼ線形に応答する。そこで、(図1)
    の関係から無窒素区玄米収量:Y0(kg/10a)、三要素区玄米収量:Y(kg/10a)、三要素区窒素施肥量:Nap(kgN/10a)の1組のデータから、500kg/10aの収量を得るのに必要な施肥窒素量(Nf)を比例計算し、このNfを肥培管理のための新たな水田生産力指標とする(式1)。この指標値が大きい水田では生産力が低く、同じ収量を得るために多量の窒素肥料を必要とする。
     Nf=Nap×(500-Y0)/(Y-Y0)・・・ 式1
  2. Nfは地力窒素指標(N0)が大きいほど小さい傾向があり窒素肥沃度を反映しているが(図2)
    、土壌による施肥窒素の損失率の違い、品種・気候等による吸収窒素の玄米生産効率の違いも反映された包括的な水田生産力指標である。
  3. この指標を用いると、例えば全国の土壌保全基準点調査圃の施肥試験データから単作水田と二毛作水田、あるいは三要素区と稲わら区の生産力の比較が可能である(表)。
成果の活用面・留意点
  1. 本指標は、同一水準の収量を得るのに必要な施肥窒素量の違いが、土壌、品種、作期、気候等の影響を含めて示されるので、例えば窒素肥料低投入型の稲作を検討する際の有効な指標となる。
  2. 本指標では基準収量を500kgN/10aとしたが、収量と窒素施肥量の比例関係が保たれる範囲で収量水準を任意に設定できる。また、無窒素区が無い場合でも施肥量の異なる試験区間の施肥量差と収量データがあれば、同様な指標の計算が可能である。
図表1 214207-1.gif
図表2 214207-2.gif
図表3 214207-3.gif
カテゴリ 肥料 水田 水稲 施肥 二毛作 肥培管理 品種

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