タイトル |
トレハロース含浸処理による形状、色調、吸水性の良好な乾燥山菜の加工技術 |
担当機関 |
石川県農業総合研究センター |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
山菜組織内へトレハロースを含浸処理で効率よく注入して乾燥することで、形状維持したままで色調および吸水性の良い乾燥山菜が製造できる。
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背景・ねらい |
現在流通している乾燥山菜は、色調や利用時の吸水性が悪く利用価値が低い。これを改善するため、機能性糖類(トレハロース、サイクロデキストリン)利用技術の検討が行われているが、通常の浸漬法では機能性糖類が十分に浸透せず、切断や粉砕なしには満足な効果が得られない。しかし、山菜は、それぞれ独特な形状が特徴となっているものが多く、形状を維持した乾燥品の加工技術が求められている。そこで、切断や粉砕なしに効率良く機能性糖類を注入させ、色調および吸水性の良い新たな乾燥山菜の加工技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 木材などへ処理液を強制浸透させるために用いる含浸装置を利用して機能性糖液と山菜の入ったタンクに30Kg/cm2の圧力で30分加圧することで、切断や粉砕しない山菜の組織内へ機能性糖類を迅速に効率良く注入できる(図1)。
- 乾燥山菜(シュンラン)の色調(色差)および吸水性(含水率)は、いずれのトレハロース含浸区も色差が小さく、含水率が高い。そのうち、ブランチング後にトレハロース含浸処理し60℃2時間乾燥区が最も色調、吸水性が良い(図2,3)。
- 本技術による乾燥山菜(ワラビ)と通常の乾燥山菜(ワラビ)の湯戻し後の含水率を部位別に比較すると、トレハロース含浸区では、穂先部でも市販水煮に近い含水率である(図4)。
- トレハロース液(糖度5%)で含浸処理した場合、組織内液の糖度が処理前の0%から4%へ増加し、組織内への注入率がトレハロース液糖度の80%と高い(図5)。また、含浸処理には、糖液を繰り返して利用できる(図5)。
- 以上より、含浸処理を用いてトレハロースを注入する乾燥山菜製造法は、形状、色調および吸水性が良好な乾燥山菜の製造に有効である。
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成果の活用面・留意点 |
- 年間を通じて色調保持や吸水性を改善した乾燥山菜の流通が可能となる。
- 形状の良好な乾燥山菜の流通には、形状維持のため包装形態に注意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
加工
乾燥
機能性
わらび
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