貯蔵食品害虫の天敵、ホウネンカメムシ(Joppeicus pradoxus)の捕食生態

タイトル 貯蔵食品害虫の天敵、ホウネンカメムシ(Joppeicus pradoxus)の捕食生態
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2002~2004
研究担当者 宮ノ下明大(食品総合研究所)
今村太郎(食品総合研究所)
Porntip Visarathanonth (タイ農業局)
Chuwit Sukprakarn(タイ農業局)
発行年度 2003
要約 捕食性カメムシの一種であるホウネンカメムシ(Joppeicus pradoxus)は、コクヌストモドキ等の貯穀害虫の捕食量が大きく、貯穀害虫の天敵として有望である。
背景・ねらい 貯蔵食品害虫の防除には、主にくん蒸剤(臭化メチルとリン化水素)や接触殺虫剤(マラチオン、フェニトロチオン等)が長年使用されてきた。しかし、臭化メチルには地球のオゾン層破壊作用があることが判明し、先進国では2005
年には検疫用等一部を除き使用禁止になる。さらに、リン化水素や接触殺虫剤にはそれに抵抗性を持つ貯蔵食品害虫が出現し、害虫防除が困難になりつつある。現在、くん蒸剤に代わる食品の安全性を重視した害虫防除方法の開発が求められており、化学農薬を使用しない天敵を用いる害虫防除技術の開発は重要である。
成果の内容・特徴
  1. 日本やタイの穀物や飼料など食品が貯蔵されている施設(精米所、貯蔵倉庫など)で天敵を調査した結果、タイから捕食性カメムシであるホウネンカメムシ(Joppeicus
    pradoxus)が発見された。
  2. ホウネンカメムシ成虫は貯蔵食品害虫の卵や幼虫に対する捕食範囲が広い(表1 )
  3. ホウネンカメムシの雄、雌成虫について、48 時間絶食させたのち、各タッパーに1 個体ずつ投入し温度30 ℃、湿度70%の条件に24
    時間放置してその捕食数を数えると、餌密度が高いと、コクヌストモドキ終齢幼虫は5-6 匹以上、ノシメマダラメイガ2齢幼虫は10
    匹以上捕食する(図1 、2 )。すでにアメリカで天敵として販売されているミナミアシブトハナカメムシXylocoris
    flavipes は、ほぼ同じ条件で平均2 頭/ 日、最高3 頭/ 日しか食べていない。この点ではホウネンカメムシは天敵として有望である。
  4. 温度条件25, 28, 30, 32, 34, 35 ℃で、ヒラタコクヌストモドキの卵を餌に用いてホウネンカメムシを飼育した場合、1
    齢幼虫から成虫羽化までの発育日数は、32 ℃で最も発育日数が短く60.2 日となる。
成果の活用面・留意点
  1. 米倉庫、精米所での放飼試験を行い、ホウネンカメムシの有用性を証明する必要がある。
  2. 他の天敵、特に寄生蜂との併用の効果について検討し、ホウネンカメムシを用いた貯穀害虫制御システムを確立する必要がある。
図表1 214606-1.gif
図表2 214606-2.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 カメムシ シカ 抵抗性 農薬 防除

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