タイトル |
ガイマイゴミムシダマシに対する薬剤のノックダウン効果 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
1995~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
高床式、ウインドウレス鶏舎において大量発生する不快害虫ガイマイゴミムシダマシ(AlphitobiusdiaperinusPANZER鞘翅目)の駆除には、カーバメイト系の薬剤は効果が低く、ピレスロイド系は速効性ではあるが、時間の経過とともに効果は弱まるのに対して、有機リン系の薬剤は遅効性ではあるが効果的である。なかでもナレド製剤が最も効果が高い。
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背景・ねらい |
換気、給温、光線管理等の環境調節が可能なウインドウレス鶏舎の普及により、従来冬季以外にブロイラー鶏舎、高床式鶏舎で発生し、断熱材を食い荒らす食害害虫であったガイマイゴミムシダマシが周年発生するようになった。特に大量に発生した場合は近隣の民家に侵入し、不快害虫として環境問題になっている。そこで、この害虫の駆除を目的に、各種薬剤を用いて殺虫試験を実施した。
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成果の内容・特徴 |
試験は濾紙接触法及び虫体噴霧法を用い、ノックダウンを指標とした。 薬剤はピレスロイド系2種類(成分シフルトリン、ペルメトリン)、カーバメイト系2種類(成分プロポクスル、カルバリル)及び有機リン系3種類(成分ナレド、プロチオホス、メトリホナート)を使用した。
- 濾紙接触法の結果、ピレスロイド系は薬剤接触1時間後に約90%のノックダウンが観察されたが、時間の経過とともに甦生し、72時間後には約50%のノックダウンとなった。カーバメイト系の効果は他の2系に比べ遅く、しかも低く、72時間後でもノックダウンは20%であった。有機リン系の効果はピレスロイド系に比べ遅いものの、ノックダウン率は高く、72時間後には90%以上となった(表1)。
- 虫体噴霧法の結果、濾紙接触法と同様にピレスロイド系の効果は有機リン系より速いものの、48時間後にはペルメトリンでは甦生がみられた。有機リン系ではプロチオホス、メトリホナートは濾紙接触法と異なり48時間後には甦生がみられたのに対し、ナレドは甦生がなく48時間後で80%のノックダウンであった(表2)。
- 7種類の薬剤の中で両方法で最も効果の高い薬剤は、有機リン系のナレド製剤であった。
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成果の活用面・留意点 |
- ガイマイゴミムシダマシがふん表面に出現する夏季には、局所に集中して生息する傾向があるので、噴霧法でピレスロイド系の殺虫剤を用いて、直接虫へのスポット使用が有効である。
- ふん中にもぐる夏季以外の季節には、有機リン系の殺虫剤を用いて、ふん表面に散布する方法が有効である。
- 薬剤耐性、地域性があると考えられるので、殺虫剤選択前には接触試験を実施することが望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
害虫
鶏
薬剤
薬剤耐性
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