水稲の種子伝染性病害虫の省力的種子消毒法

タイトル 水稲の種子伝染性病害虫の省力的種子消毒法
担当機関 茨城県農業総合センター農業研究所病虫研究室
研究期間
研究担当者
発行年度 1995
要約 ペフラゾエート水和剤の吹き付け種子を,MEP乳剤 1,000倍とオキソリニック酸剤 800倍に混合した薬液に浸種をかねて 72時間浸漬することにより,ばか苗病,もみ枯細菌病およびイネシンガレセンチュウの同時防除が可能である。
背景・ねらい 茨城県の水稲種子の更新率は52%を占め,平成 3年産の種籾からペフラゾエート水和剤とMEP乳剤を混合して吹き付けを行ってきた。ところが,平成 4年なってこの2剤を吹き付けて長期間保存すると,両剤とも効力の減退することが明らかとなった。最近はばか苗病が多発しているため,平成 5年産の種籾からペフラゾエート水和剤のみを吹き付けて,消毒種子として供給しているものが 70%を占めている。しかし,平成 7年には県内各地で,イネシンガレセンチュウによると思われる被害が多発した。また,育苗時にもみ枯細菌病の発生が認められる。したがって,ペフラゾエート水和剤を吹き付けた消毒種子のもみ枯細菌病とイネシンガレセンチュウに対しての省力的な防除法の確立が強く望まれている。
成果の内容・特徴
  1. ペフラゾエート剤吹き付けとオキソリニック酸剤およびMEP乳剤を組み合わせたものはばか苗病ならびにもみ枯細菌病に対する防除効果は極めて優れていた。いずれの処理区とも薬害は認められなかった(表1)。
  2. イネシンガレセンチュウに対する防除効果をみると,MEP乳剤1,000倍とオキソリニック酸剤800倍混合液またはMEP乳剤1,000倍液に浸種をかねて72時間処理した種籾の線虫数は極めて少なくなった。そして,游出した線虫はほとんどが死滅していた。
  3. ペフラゾエート剤吹き付け種子のオキソリニック酸剤とMEP乳剤混合薬液への浸漬処理は,浸種 3日後の24時間処理でも,浸種時 3日間の浸漬処理でも,コシヒカリ,あきたこまちの生育にほとんど影響はなかった。あきたこまちはばか苗病汚染籾で,無処理では 91.3%の発病苗率を示し極めて汚染率の高い籾であったが,ばか苗病の防除効果は,オキソリニック酸剤とMEP乳剤混合薬液での浸種 3日後の24時間処理および浸種時 3日間の浸漬処理ともに極めて高かった(表2)。
  4. 以上の結果から,県内で更新種子として販売されているペフラゾエート剤を吹き付けた消毒種子は,MEP乳剤1,000倍とオキソリニック酸剤 800倍混合液に浸種をかねて72時間浸漬することによって,ばか苗病,もみ枯細菌病およびイネシンガレセンチュウを同時に防除することができ,本種子消毒は複数の病害虫防除技術として省力的で極めて実用性が高いものと考えられる。
成果の活用面・留意点 現在,MEP乳剤の72時間処理は登録がないので,登録の促進が望まれる。本処理法は浸種時の換水の手間を少なくし,とくに,大型育苗施設で応用しやすい。
図表1 214992-1.gif
図表2 214992-2.gif
カテゴリ 病害虫 育苗 害虫 種子消毒 水稲 病害虫防除 防除 もみ枯細菌病

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