タイトル |
小胞子培養による「守口ダイコン」固定系統作出技術 |
担当機関 |
岐阜県農業総合研究センター |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
「守口ダイコン」の小胞子培養で胚様体を誘導する技術を開発し、これを植物体に養成し順化・鉢上げした後、自殖することで完全固定系統を作出することができ、これを活用した F1育種が可能になった。
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背景・ねらい |
半数体作出技術は直ちに完全固定系統を作出できることから、育種の効率化を図るうえで極めて有効な技術である。 そこで、現在、本県で取り組んでいる「守口ダイコン」の新品種育成に、本技術を活用したF1育種法を導入するため、小胞子培養系を開発し、固定系統を作出するとともに、作出した固定系統を利用したF1育種の可能性について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 基本培地はNLN液体培地(Lichter 1982)とするが植物ホルモンは無添加とし、3~4mm長の花蕾(1核期後期)から単離した小胞子を1×105個/ml密度に懸濁し、1日間32℃の高温に遭遇させた後22℃暗培養する。
- NLNの培地組成にアスパラギン酸、プロリン各0.1g/mlを新たに添加することで培養効率が向上する(表1)。
- 培養前の花蕾の一定期間(1~16日)の低温処理は、培養効率を向上させる効果があるほか、一時期に得られた材料を有効に活用するための貯蔵技術としても有効である(表2)。
- 上記技術を組み合わせることで、2~3週間後に反応の良好な個体であればシャーレ(2ml)当たり1~1.5個の胚様体(図1)を誘導することができる。
- 誘導した胚様体は胚様体生長培地(1/2MS、ジェランガム0.4%、ショ糖3%、pH5.8)に移し、発根を確認した後、植物生長培地(1/2MS、寒天0.8%、ショ糖3%、pH5.8)で約1カ月生長させバーナリ処理を行って鉢上げする。
- 培養体は半数体から高次倍数体まで様々な染色体数を示すが(表3)、孔辺細胞のサイズ(図2)、孔辺細胞密度、花弁長、花粉形成の有無等から染色体数の大まかな判定ができ、このうち通常の2倍体と見られる個体について蕾受粉を行う。
- 固定系統は強度の自殖弱勢を示すが、これらを母本にして生育力が旺盛で斉一なF1が得られることを確認した。
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成果の活用面・留意点 |
- 完全な純系が得られることから育種素材のほかダイコン(Raphanus属)の遺伝解析の素材としての活用も可能である。
- 培養効率には幅広い個体間差がある。
- 培養体の染色体大まかな判定は上記指標により可能であるが、厳密には検鏡観察による確認が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
育種
受粉
新品種育成
だいこん
保存・貯蔵
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