タイトル |
湛水条件下における土壌中イチビ及びチョウセンアサガオ種子の死滅程度 |
担当機関 |
三重県農業技術センター畜産部 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
強害外来雑草多発の転換畑を水田に復田し、埋土種子を死滅させることを目的に、イチビとチョウセンアサガオ種子を湛水土壌中条件下に埋土深度を変えて処理した結果、10cm以上の深さにある種子は生存し続けるが、5cmまでの深さの種子は減少させることができる。
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背景・ねらい |
三重県の飼料作物生産基盤は転換畑であるが、普通畑と同様にイチビ、チョウセンアサガオ等の強害外来雑草が蔓延し、トウモロコシ収量に大きく影響を及ぼすことが懸念されている。また、除草剤利用試験が行われる中で、環境持続型農業の確立も重要な課題となりつつある。そこで、除草剤を用いない防除技術として転換畑を復田することにより、土中に埋没した雑草種子の死滅を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 湛水土壌中の5cmの深さにあるイチビ、チョウセンアサガオの種子は、埋土日数とともに相対出芽率(無処理種子の出芽率(表1)を100とした時の埋土種子出芽率との比)が減少し、水稲の水管理が中干し期になる移植後40日目でイチビはほぼ完全に死滅する。また、チョウセンアサガオでは40日目で50%まで出芽率が減少するものの、その後の水管理が間断灌水になることも影響し、水稲の収穫時期まで50%程度の相対出芽率を維持する(図1、図2)。
- チョウセンアサガオ種子の復田2年目の影響は、1年目で腐敗した種子を除いた場合、1年目と同様に50%近い相対出芽率が維持される(図2)。従って、チョウセンアサガオの場合、2年間の復田でも完全に種子を死滅させることはできないが、生存埋没種子量を復田前のほぼ1/4に減少させることはできる。つまり、イチビ、チョウセンアサガオについて比較的表層部に存在する種子は2年間の復田で生存埋没種子量を減少させることができる。
- 土中10cm以上の位置にある種子については、イチビでは全期間を通して50%程度の相対出芽率が維持され、さらにチョウセンアサガオでは死滅効果は認められず、ほぼ100%の相対出芽率を保つ。従って、1年間の復田では土中深い位置の種子には効果が少なく、復田1年で飼料畑に転換した場合、耕耘により表層部へ種子が移動し出芽する可能性が大きい。
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成果の活用面・留意点 |
- 転換畑での飼料作物栽培圃場において、復田の効果が明らかになり、防除技術マニュアルの資料として利用できる。
- 復田の年数と種子の死滅効果や他の雑草に対する効果も検討することが必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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