タイトル |
多段循環式飼育装置に対応した条払い上蔟技術体系 |
担当機関 |
長野県蚕業センター |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
基幹労働力2人。一蚕期飼育量15箱、年間飼育回数5~6回。稚蚕期は人工飼料育、壮蚕期は多段循環式飼育装置を利用した条桑育。上蔟方法は網取り条払い法による高能率体系化により上蔟作業を1日で処理できる。
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背景・ねらい |
繭の生産は、生糸・繭価格の低迷に加え、養蚕従事者の高齢化・婦女子化の進行により生産基盤が脆弱化し、年々減少の一途を辿っている。生産増強により経営改善を目指す養蚕農家にとって上蔟作業は、作業構成が複雑で蚕座の状態や微気象・環境等に大きく左右され、しかも、短時間に処理しなければならないことから規模拡大のネックとなっている。そこで、基幹労働力2人で一蚕期15箱飼育規模の上蔟を1日に処理できる高能率上蔟技術の体系化を確立し、農家群の技術的リーダーとなり得る大規模養蚕農家の育成と養蚕集落の活性化に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 忌避剤(クレゾール石鹸 300倍希釈液)吸着モミガラと熟化促進剤(β-エクダイソン)を上蔟前日に処理することにより、熟蚕収集率が向上する。
- 熟化促進剤(β-エクダイソン)の噴霧装置は、1飼育枠に条桑給与と噴霧を3回繰り返すことにより、全蚕児が食下できる薬剤噴霧が可能で、かつ、噴霧時間が大幅に短縮した。
- 簡易熟蚕振り込み装置は、熟蚕受けネットの活用により熟蚕の秤量・振り込まれた回転蔟の懸垂までが一工程で行え、慣行作業と比較すると約40%に短縮された。
- 熟蚕消毒は、熟蚕収集直後に消石灰または改良パフソールを 1,000頭当たり50~60g散布する。
- 組み立てた回転蔟等上蔟器具を収容した上蔟室の消毒には、超微粒子噴霧機(ジェットパーフェクター)を用いてホルマリン原液を1立方メートル当たり20ml散布し、24時間密閉するとともに、蔟器に向けて12時間送風する。
- 高能率上蔟技術の体系化により、一蚕期15箱飼育での上蔟作業時間は、最も労働の集中する上蔟当日においても基幹労働力2人組作業で9時間で行うことができる。(表1)
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成果の活用面・留意点 |
- 簡易熟蚕振り込み装置を利用する場合には、組み立てた回転蔟の収納場所が必要である。
- 折り畳んだボール蔟及び回転蔟木枠を消毒するには、簡易ビニールハウスで1立方メートル当たりエチレンオキサイドガス(エポンミニ)6本使用し、72時間密閉する。
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図表1 |
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カテゴリ |
カイコ
規模拡大
桑
経営管理
薬剤
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