タイトル |
多収で清香のある緑茶用新品種候補`70-30-302' |
担当機関 |
静岡県茶業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1997 |
要約 |
多収で清香のあるやや早生の緑茶用系統である「70-30-302」を育成した。摘採期は`やぶきた'より2日早く、樹勢は極強、耐寒性及び耐病性に優れる。品質は`やぶきた'よりも強い清香とこく味を持ち、優良である。
|
背景・ねらい |
栽培品種の95%が`やぶきた'に偏り、品質の画一化や栽培管理、製造等に多くの問題が生じている。これまで、静岡茶試では品種の組み合わせ栽培を普及するために、早生の`山の息吹'や晩生の`おくひかり、さわみずか'を育成してきたが、生産者からのやや早生品種への要望も大きいため、多収で品質優良なやや早生品種の育成を図る必要がある。
|
成果の内容・特徴 |
- 育成経過
「70-30-302」は「静7132」を種子親に、`あさつゆ'を花粉親とし、昭和45年に交配した実生群から選抜され、栽培・品質特性が優れていると認められた系統である。
- 特性の概要
1)萌芽期及び摘採期は`やぶきた'より2日程度早く、樹姿はやや直立型、樹勢は極強である(表1)。 2)挿し木時の発根性及び生育は`やぶきた'よりやや劣るものの、`さやまかおり、くらさわ'に比べやや優れる(表1)。 3)耐寒性は赤枯れ抵抗性が`さやまかおり'と同程度の「強」、耐病性は炭そ病抵抗性が「極強」、もち病抵抗性は`やぶきた'よりやや強い「中」である(表1)。 4)10a当り収量は`やぶきた'に比較し、一番茶で本場(菊川町)が125%、分場(富士市)が164%、山間地(中川根町)が111%、年間収量でもそれぞれ123%、168%、123%と多収な系統である(表2)。 5)一番茶の品質は、3試験地とも色沢、香気、滋味及び総合点がいずれも`さやまかおり、くらさわ'より優れ、`やぶきた'とほぼ同等である(表3)。特に、香気は清香が強く、こく味に富んだものである。
|
成果の活用面・留意点 |
- 「70-30-302」はやや早生種で、耐寒性が強いため静岡県内の全域に適する。
- `やぶきた'よりやや早生であるため、`やぶきた'と組み合わせて栽培することにより、栽培管理・製造等の集中化を避けることが期待される。
- 今後、種苗法による品種登録を申請する予定である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
くこ
栽培技術
挿し木
新品種
耐寒性
茶
抵抗性
品種
|