タイトル |
ワケネギウイルスフリー株の育成と実用化 |
担当機関 |
埼玉県園芸試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
埼玉県南東部を中心に栽培されているワケネギで、ウイルス病の被害が問題となっている。その対策として、生長点培養によって作出・育成したウイルスフリー株を利用することにより、収量及び品質が向上する。ウイルスフリー株の増殖には網室を使用すると、高い増殖率と再感染防止効果が得られる。
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背景・ねらい |
埼玉県のワケネギ(系統名不明)は県南東部を中心に栽培されているが、ウイルス病の影響で作柄が不安定である。そこで、ウイルス病発生状況を明らかにするとともに、ウイルスフリー株(以下VF株と略記)を作出・育成し、その利用法を確立して実用化を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 現地ほ場と試験場内ほ場における病徴の発現は、春から秋(特に夏から初秋)にかけてネギ萎縮病と似た症状が認められるが、冬から初春にかけては認められない。
- 汁液接種法によるウイルス調査では、現地発病株はネギ萎縮ウイルス(OYDV)及びニンニク潜在ウイルス(GLV)が重複感染し、これらに加え、ソテツえそ萎縮ウイルス(CNSV)あるいはその他の未同定ウイルスの感染が認められる(表1)。
- 0.5~1.0mm大の茎頂生長点組織を切り取ってMS培地で培養すると、高い生存率が得られ、すべての個体はウイルスフリーとなる(表2)。
- 現地でのVF株の増殖には網室が必要である。その施設仕様は、前室付き雨よけ+寒冷紗のパイプハウスに側部換気とかん水設備を設置したときに、増殖率、ウイルス再感染防止効果とも優れる(表3)。
- 現地ほ場のVF株は、葉の伸長や分けつ性に優れ、葉の波打ちなどが無く品質の向上も認められる。また、初秋収穫の作型では慣行苗より60%程度増収となり、多収効果が期待できる(表4)。
- ウイルス病の感染時期は、5月以降から晩秋までの期間である。
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成果の活用面・留意点 |
- VF株は慣行苗と比較して生育がおう盛なため、収穫時期が早まり収穫適期の幅も短い。これらを考慮した作付け、出荷計画が必要である。
- 生育おう盛なため、慣行栽培よりも施肥量を控える。
- VF株を維持するためには、網室を必ず設置し、アブラムシ防除を徹底する。
- VF株(母株)の更新は毎年行う。
- 4~5月に収穫する作型では抽だいする場合があるので、VF株の使用は控える。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
萎縮病
出荷調整
施肥
にんにく
ねぎ
防除
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