タイトル |
催芽器を改良した温湯処理器による水稲種子伝染性病害虫の防除 |
担当機関 |
埼玉県農業試験場 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
催芽器を改良した温湯処理器による温湯浸漬処理(60℃、10~15分間)は、いもち病、もみ枯細菌病、イネシンガレセンチュウ防除に有効である。
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背景・ねらい |
化学農薬による水稲の種子消毒は、一部の病害に対して防除効果が不安定な場合や薬剤耐性菌出現の恐れがあり、また、環境にやさしい農業技術推進の点から化学農薬の代替技術が求められている。一方、種子伝染性病害虫に対する温湯消毒の有効性は既に確認されているが、浴液温度を一定に保ち、実用的に大量処理できる方法が確立されていなかった。そこで、民間企業と協力して催芽器を改良した温湯処理器を試作し、処理条件と防除効果及び発芽に及ぼす影響を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 温湯処理器と処理条件
1)温湯処理器:T社製温湯処理器(図1)。浴槽200ι。ヒーター部200V、10A。 2)処理方法:水槽に180ι以上の水を貯め、水温が60℃に達するのを確認し、乾籾8kg(4kg袋×2)を付属のカゴ内で浸漬、かるく揺する。10分~15分経過後、籾を速やかに引き上げ、流水中で冷却する。なお、直ちに浸種を行わない場合は、袋から出して拡げ、乾燥させる。
- 防除効果
1)いもち病:自然感染籾に対する60℃10分間浸漬処理は、種子消毒剤と同等の効果がある(図2)。 2)もみ枯細菌病:自然感染籾に対する60℃10~15分間浸漬処理は苗腐敗に対して、種子消毒剤と同等の効果が得られ、また、本田のもみ枯れに対しても種子消毒剤と同等の効果がある(図3)。 3)イネシンガレセンチュウ:60℃の5~15分間浸漬処理を行ったイネシンガレセンチュウ寄生籾からは、生線虫は分離されない(図4)。
- 発芽・生育への影響
1)前年及び前々年産種子に対する発芽への影響は、60℃15分処理では影響はないが、60℃20分以上、62℃15分以上の処理では発芽率が90%以下になる場合がある。
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成果の活用面・留意点 |
- 湯量180ιに対する乾籾8kg(4kg袋×2)の処理量を厳守する。また、浸漬時間と浸漬温度を厳守する。
- 自然放熱冷却は発芽率を低下させるので、温湯処理直後に必ず流水中で冷却する。
- 保存年限が長い種子、保存状態の悪い種子を使用した場合、発芽率が低下する。
- 60℃の5~15分間浸漬処理は、イネばか苗病に対しても種子消毒剤と同等の効果が得られる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
温湯消毒
害虫
乾燥
種子消毒
水稲
耐性菌
農薬
防除
もみ枯細菌病
薬剤
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