タイトル |
関東平坦地域における水稲ロングマット水耕苗の播種期別苗生育と省力施肥法 |
担当機関 |
埼玉県農林総合研究センター |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
簡易ハウスにおける水稲ロングマット水耕苗の播種時期別の生育特性を明らかにした。施肥は、各作期とも播種後5日目に施肥濃度を水道水EC0.3+2.5mS/cmに調整した養液の一発施用で、標準の毎日施肥と同等の苗が得られる。
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背景・ねらい |
本県の水稲苗移植期間は4月末から6月下旬までと長い。そこで、多様な作型に対応したロングマット水耕育苗技術を開発するために、播種期による苗の生育特性を明らかにする。また、育苗時の施肥作業は、播種後5日目より毎日養液調整を行うため多労を要する。この省力化のため、育苗期間中の施肥を1度の施用で済ます技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
簡易ハウス(7.2m×10m、内部気温30℃で自動換気)内で温湯浸法(60℃、10分間)により種子消毒したキヌヒカリを籾200g/育苗箱相当播種し、播種後0~4日目は水道水を1リットル/分/条循環、5日目以降は標準液(O社ハウス1号:2号:健太郎=2.4:1.6:1の混合液)を希釈して水道水EC0.3+1mS/cmに毎日調整した養液を2リットル/分/条循環させる標準施肥で、同時期に移植する慣行土付苗並の苗質を目標として栽培し、以下の点を明らかにした。
- 自動換気装置のある簡易ハウス内では、播種期が遅くなるほど育苗期間中の最低気温は高くなるが、最高気温は換気装置により比較的影響を受けない。
- 播種期が遅くなるにしたがい、茎葉部、根部ともに初期の生育が旺盛となり、特に第2葉鞘及び第2葉身が伸長するが、葉位の伸展、風乾重の増加程度は鈍く充実度は低下し、播種後13日目の根長に差はない(図1)。このため6月10日以降の播種では地上部がやや徒長気味の軟弱な苗になりやすい傾向があるが、5月30日までの播種より2~3日早く移植可能な性状の苗が得られる。
- 施肥作業の省力化のため育苗期間中の施肥を1度の施用(一発施肥)で行った。一発施肥は、播種後5日目に養液を水道水EC0.3+2.5mS/cmに調整し、以降は用水タンクの減水分だけ補水する。
- 一発施肥の肥料濃度は直線的に低下し、播種後12~13日にはEC値は1~1.4mS/cm程度まで低下、pH値は7.5程度まで上昇し、標準施肥と同程度になった。
- 一発施肥では標準施肥と比べ、茎葉部は草丈が第二葉鞘の伸長によりやや長くなり、麦跡でその傾向が大きい(図2-1)。根部は、根数に差はないが、根長がやや短縮する傾向にある。このため苗分離抵抗は標準よりやや低下するが、苗のロール化は標準と同等で、移植時の苗損傷程度や移植後20日目の活着率も同程度である(図2-2、表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 育苗日数は13日を目安とするが、苗の生育状況や気象状況に応じて調整する。
- 麦跡栽培では、標準施肥、一発施肥ともに軟弱徒長苗の傾向を示すので、施肥濃度の削減や夜間断水による制御方法の検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
育苗
簡易ハウス
種子消毒
省力化
水稲
施肥
播種
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