黒毛和種牛における黄体ホルモン製剤を用いた分娩後の早期胚生産システム

タイトル 黒毛和種牛における黄体ホルモン製剤を用いた分娩後の早期胚生産システム
担当機関 群馬県畜産試験場
研究期間 2000~2001
研究担当者
発行年度 2000
要約 分娩後1ヶ月を経過した黒毛和種牛に黄体ホルモン製剤(CIDR)を8日間装着した。その後7日目からCIDRを用いた過剰排卵誘起処理を実施した。その結果、回収された胚の正常胚率は75.4%、Aランク胚率は68.4%となり、対照区(61.9%、48.3%)に比べ高くなることが認められた。
背景・ねらい 黒毛和種牛に対する過剰排卵誘起処理では、経産牛を供胚牛に用いた場合、未経産牛に比べ発育排卵する卵胞数が多く、その為、回収卵数が多くなることが知られている。また、分娩後早期から過剰排卵誘起処理を実施することによって、次回妊娠までに多回数の反復処理の実施が可能となり、また、妊娠までの期間の短縮など優良雌牛の有効利用が図られる。しかし、分娩後早期の過剰排卵誘起処理による採卵成績は、卵巣および子宮の機能的回復に個体差があり比較的低率な場合が多い。そこで、分娩後の供胚牛から効率良く安定的に移植可能胚を回収するために、黄体ホルモン製剤(CIDR)による前処理を実施し、その後発情周期に関わりなく開始できるCIDR利用の過剰排卵誘起処理を行い、前処理による採卵成績への影響について調べた。
成果の内容・特徴
  1. 分娩後1ヶ月を経過した黒毛和種供胚牛に対し、初回発情の有無に係わらず黄体ホルモン製剤(CIDR)を8日間膣内に留置し、除去後7日目からCIDRを用いた過剰排卵誘起処理を実施した。
  2. 過剰排卵誘起処理には総量13AUの卵胞刺激ホルモン(FSH)を用い、これをCIDR留置後7日目から4日間に渡って漸減的に分割投与した。FSH投与開始3日目にCIDR除去、およびPGF2α製剤を投与した(図1)。
  3. 胚の回収は、発情後7日目にバルーンカテーテルを用いた子宮内灌流法により実施し、
    形態的評価により正常胚(A,B,Cランク)、変性胚、未受精卵にそれぞれ分類した。
  4. 黄体ホルモン製剤による前処理を実施した試験区の正常胚率およびAランク胚率はそれぞれ75.4%、68.4%で、対照区のそれぞれ61.9%および48.3%に比べ高く、本法は黒毛和種牛の分娩後の胚生産システムとして有効である(表1、表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 黒毛和種供胚牛の分娩早期の過剰排卵誘起処理成績が向上し、次回妊娠までの期間短縮が可能となる。
  2. 難産、後産停滞等の分娩時異常の認められた牛については未確認である。
図表1 216271-1.gif
図表2 216271-2.gif
図表3 216271-3.gif
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